2007年12月25日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)農林抄一覧
 
   「消費者・環境視点からの生産調整政策への転換を」
       高崎経済大学学長 吉田俊幸
 
 
<書き出し> 3年連続の不作下での過剰生産と米価下落という事態に直面して、与党の要請を受けて政府備蓄米34万トンの買入および生産調整参加者へのメリットの上乗せ、品目横断的経営安定対策への参加条件緩和が実施される。また、水田農業の担い手不足、高齢化の進展等により水稲以外の作付(転作)面積が減少し、水田の荒廃化が進展している。まさに、水田農業の「ひと」「水田」「営農」及び生産調整の空洞化が進展している。今回の対策は、現行の生産調整政策の枠内での対策強化であり、生産調整の実効性確保の面でも農村活性化の面でも大きな効果を期待できない。ところで、現行の生産調整は供給制限を通じた米価維持であり、生産者視点の政策であり、以上の諸課題を生じさせる内在的な矛盾がある。・・・





焦  点 「「消費者」の目線で政策転換」
 
 
 政府は12月17日、「生産第一」から、国民生活の安全・安心.を中心とする政策転換を図る「生活安心プロジェクト」を決定した。各府省庁等で取組んでいる政策を消費者・生活者の目線で総点検し、国民に安全・安心をもたらすよう根本から見直す。農水省では「食品表示特別Gメン」を農政事務所に配置し、広域事案が発生した場合に迅速に調査して対策を講じるシステムをつくる。東京、大阪、福岡の農政事務所に20人を配置する。また本省の食品表示・規格監視室を増員するとともに、地方農政局に関係機関と連携調査を統括する専門官を配置する。農林水産消費安全技術センターにも、食品表示特別調査チームを置く。



分析と解説「08年産米都道府県別需要量情報」 (政策米麦
 
   「県別配分が実績比40万トン減815万トン」
       週刊農林編集部
 
      減反必要面積は9万5200ヘクタール
      09年産は年産は800万トン割れも視野に
      都道府県別生産目標「達成県に加算措置」
      未達県目標は前年同水準が上限
      生産目標削減大きい新潟、秋田
      43万農家が生産調整に参加せず
      生産量と価格見通し相関情報を
      付表・06/07〜08/09年主食用等需給見通し及び需給実績
      付表・2008年産米都道府県別需要量情報と07年産米都道府県別生産数量・作付面積
      付表・06年産生産調整非参加者水稲作付面積
 
解  説「地方再生戦略/農村活性化戦略」 (政策
 
   「省庁連携で地方の『元気』再生」
       週刊農林編集部
 
 
 政府の地域活性化統合本部(本部長・福田康夫首相)は11月30日、地域間格差の是正に向けた「地方再生戦略」を決定した。国がメニューを定めず、地域の自由な取組みを直接支援する「地方の元気再生事業」の創設を目玉に、地方を@地方都市A農山漁村B基礎的条件の厳しい集落に3分類し、再生への施策展開の方向を示した。同戦略の策定を受け、農林水産省は、地方を活性化するとともに地域住民が安心して暮らせる「農山漁村活性化戦略」を、経済産業省は地域経済が自立的に発展するための基盤を整備する「地方経済再生緊急施策プログラム」を作成した。
 
解  説「加工食品原材料取引表示」 (政策食品安全
 
   「業者間取引も原産地表示義務化」
       週刊農林編集部
 
 
 農林水産省は12月4日、第7回食品の業者間取引の表示のあり方検討会を開き、品質表示基準改正案について討議、加工食品品質表示基準など6基準の改正案をまとめた。業者間取引を加工食品では「一般消費者に販売される形態となっているもの以外」、生鮮食品では「一般消費者に販売される加工食品の原材料となるもの」と定義し、最終製品で原料原産地表示が義務付けられている製品の原料には原産地表示を義務化した。
 
トピックス「2008年漁獲可能量」 (水産
 
   「イワシ、アジ、サバに調整枠」
       週刊農林編集部
 
 
 水産庁は海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画で08年漁獲可能量(TAC)を示した。今回の設定にあたり水産庁では、TACがABCを上回る幅が可能な限り小さくなるようにした。また、漁期開始後、漁海況の見通しが直近の資源評価から想定される状況より大幅に改善されることが見込まれる場合には、新たな科学的データ等を用いて速やかに資源の再評価を行い、その結果を踏まえてTACを改訂する。特に、マイワシ、マアジ、サバ類については、資源評価に基づいて算定されたABC等の数量をベースに「基礎とする数量」を設定。これらの魚種は、漁場の形成状況が毎年大きく変化することから、良好な漁場形成により配分が不足する県等に対する追加配分を可能とするため「調整枠」を設定した。
 
 
農林水産ニュース&解説
 
 経営・構造
    国土審が全国総合開発計画(全総)に代わる「国土形成計画(全国計画)」原案をまとめ(12/12)
 
米麦・水田
    農水省の水稲平年収量検討会が作況指数基準である水稲平年収量に「地球温暖化」の影響反映(12/12)
 
畜   産
    吉川泰弘東京大学大学院教授が我が国のBSE発生は「代用乳が最も有力視される」と発表(12/12)
 
畑作・果樹
    農水省と環境省が保留資材475種をパブコメで使用実態調査し、実態なければ「除外」
 
農協・経済
    07年度上半期の総合JAの事業総利益あ1・2%減の9124億円と2年連続の減少、経常は9・9%増
 
食品・安全
    厚生労働省研究班がイソフラボン摂取による脳梗塞と心筋梗塞予防の可能性が示されたと発表
 
環境・技術
    生研センターがりんごやナシのせん定枝を効率的にチップ化する「せん定枝粉砕搬出機」の実現間近か
 
林   野
    COP13が2013年以降の温暖化対策枠組み交渉の「バリ・ロードマップ」合意(12/15)
 
水   産
    日ソ地先沖合漁業協定が08年ロシア200海里水域の日本漁船の操業条件等で合意(12/3〜14)