2004年2月15日号
   
 

 

 

  

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農林抄 (論説/米国産食肉の輸入解禁条件を論じる)
 
   「米国産牛肉は安全・安心が保証されていない」
       農政ジャーナリスト 横田哲治
 
 
 アメリカのBSE発生の公表を聞き、少し遅すぎたと思った。現在のところ、感染牛はカナダ・アルバータ州の生まれだから、アメリカはBSEの清浄国と主張し、日本に輸入再開を求めている。忘れもしない、日本でBSEの牛がでた時、アメリカは国内で飼育されている血統書付の黒牛和種を直にと畜した。BSE感染国に対し、厳しい措置は当然のことと思う。BSEをはじめ、抗生物質、成長促進ホルモン材の牛肉生産に投与していることを考えると、はたして、アメリカの牛肉は安心・安全といえるのだろうか。ここで、一部で生産されているナチュラルビーフのことを言っているのではない。アメリカの牛肉は、他の輸入用に比べて脂肪交雑はあるが成長促進ホルモンなどの残留はEU(欧州共同体)が主張してきた。この際BSE感染牛に捕われることなく、牛肉の安全・安心を相方で再考してはどうか。・・・


焦 点 「米国がBSE調査打ち切り」
 
 
 米国農務省は2月9日、BSE感染牛に関する調査を打ち切ると発表した。米国の調査では、感染牛と一緒にカナダから輸入された80頭の牛うち、所在が確認できたのは28頭しかなく、米国農務省では「この28頭とカナダの同じ牧場で飼育されたとみられる計255頭を検査したが、すべて陰性だった」との根拠で、「所在を特定できなかった牛も感染の恐れはなく、感染牛以外は安全」と結論づけた。感染源についても「カナダで与えられた飼料」というだけで特定できなかった。調査打ち切りで米国は各国と輸出再開交渉に入る方針だが、牛群管理により追跡調査に限界があるにしても輸入再開に応じるにはあまりにも杜撰な調査報告だ。



新春特集 「資源循環・環境創造型バイオマス戦略の構築と展開」<4>
 
バイオマス・プラスチック利活用技術開発の成果と展望〜
 
   「バイオマス由来プラスティックの技術開発と取組みの現状及び今後の展望・展開」<2>
       生分解性プラスチック研究会事務局長 大島一史 (季刊特集
 
      バイオマス・ニッポン総合戦略とグリーンプラ
      実用化銘柄と用途の多様化
       (1)実用化銘柄
       (2)用途の多様化
      付表・グリーンプラ:国・自治体・国家事業による実用化に向けた支援

     
つづく
 
資源循環・環境創造型地域づくりモデル〜
 
   「バイオマスを活かしたまちづくり」<2>
       滋賀県新旭町環境課主事 阿部能英 季刊特集
 
      はじめに
      環境関連の取組み概要
      菜の花プロジェクト
       ・琵琶湖保全から始まった食用廃油回収
       ・ひろがる菜の花畑
       ・波及効果
       ・問題点

     
つづく
 
 
トピックス 「食の安全を考える」
 
   「人畜共通抗生物質の使用制限を」  (畜産政策食品安全・食品表示
      〜医療現場で問題の耐性菌VRE〜
       週刊農林編集部
 
 
<概要> 人類は第二次世界大戦の頃から、抗生物質が伝染病の阻止に絶大な効果を示したことから抗生物質に頼ってきた。しかし、抗生物質に耐性を持った菌、耐性菌が誕生し、その発生と抗生物質の多用の因果関係が疑われており世界中で抗生物質の多量の使用を控える動きがある。EUでは2006年までに段階的に成長促進のための抗生物質の使用を廃止していく方針だ。日本でも、昨年農林水産省が飼料添加物として認めている抗生物質について、食品安全委員会にリスク評価を依頼し、評価次第で指定の取消しもある。抗生物質と菌はこれまでお互いに進化し続けてきた。しかし、因果関係は認められているものの、耐性菌の発生メカニズムが解明されていないこともあり、その使用に関しては賛否が分かれている。
 
     読み切り
 
概 説 「企画部会で新基本計画の本格的議論開始」
 
   「10年後の目指すべき将来像明示へ」  (農業・環境政策食料・農業・農村基本法関連
       週刊農林編集部
 
 
<概要> 新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた本格的審議が1月30日、食料・農業・農村政策審議会企画部会(部会長・生源寺東大教授)で始まった。議論に当たって農水省は、タタキ台として、新基本計画の構成と改革すべき主要3課題についての検討方向を提示した。提示した新計画の構成は、現行4章構成を維持するが、内容面では、基本方針に新たに10年後のめざすべき将来像を明示する。目標年次は、5年繰り下げ2015年度とする。参考扱いの「農業構造の展望」は、本文中に構造政策のめざす方向性を明示する。農業分野の施策では、「農業の競争力強化」を明記し、株式会社の農地取得の検討を含む参入規制の見直し内容とともに、「環境保全型農業の推進」施策や「輸出の促進」施策も盛り込んでいく。大臣談話で指示された改革すべき主要3課題の検討方向については、外国との超えられない生産条件格差是正に向け品目横断的政策は、支援対象となる「プロ農業経営」のハードルを高くし、一定以上の経営規模やコスト削減を資格要件としていく。対象の営農類型は、畑作と水田作。支援の要素には、収入・所得の変動による影響の緩和と外国との生産条件の格差是正を検討していく考え。農業環境・資源保全政策は、農業生産を環境を重視したものに転換し、生産で実践すべき環境重視規範の明確化や大幅な環境負荷低減を実施する農業者を育成する手法を検討していく。担い手・農地制度改革については、多様な担い手の確保に向け株式会社の参入を含め、農地の取得要件や農業生産法人要件など参入規制を見直していく。次回からは、主要3課題に議論を集中し、これを中心に7月中に中間的な論点整理をまとめる。
 
      コラム「プロ農家経営」って何? 論争
 
     読み切り
 
 

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