2007年5月25日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)農林抄一覧
 
   「表現しなければ「環境支払い」にならない」
        農と自然の研究所代表 宇根 豊
 
 
<書き出し> 「農地・水・環境保全向上対策」が始まったが、この政策を「環境支払い」だと明言できないでいるのは、残念でしかたがない。しかし、それには農水省と百姓の双方に原因がある。その典型を見てみよう。「水路や農道の維持管理が大変だから」という理由だけでは、地元の住民も協力する気にはならない。そんなことは農業だけではないからだ。それは、税金をつぎ込む根拠としても弱々しいことだということになる。「環境支払い」への国民の賛意を醸成するために臆病になりすぎている理由は、どこにあるかを考えてみよう。「環境支払い」とは、農のカネにならない“めぐみ”を、国民の価値だと認識し、これに対して対価を支払うことなのに、「掛かり増し経費」(これもよくわからない行政用語)への補填という体裁をとっていることではないのか。・・・





焦  点 「海藻バイオエタノール計画」
 
 
 東京水産振興会は5月9日、海洋で海藻を養殖し、それを原料にバイオエタノールを生産する「オーシャン・サンライズ計画」を発表した。日本の排他的経済水域1−2%の面積に1.5億トンの海藻(アカモク、コンブ等)を養殖し、年間400万トンのバイオエタノールを製造する壮大な計画だ。同振興会では「食糧や飼料となる穀物からバイオエタノールを生産することによる社会的影響を回避できるとともに、世界の海洋空間の1%を活用するだけで全世界の穀物生産量をバイオエタノールに振り向けた場合よりも1.5倍以上のエタノール生産が得られる」と、その意義を強調している。2016年から事業の本格化を図る。



春季特集「自給飼料の研究第2弾『エコフィード』」<3> (季刊特集
 
   「食品残さの飼料化の課題と今後の展開方向」<2>
       宮崎大学農学部教授 入江正和
 
      食品残さ飼料化行動会議の動き
      エコフィード利用上の課題と展開方向


     
つづく
 
   「GEN方式残飯養豚技術について」<2>
       源麹研究所代表取締役・霧島高原ビール代表取締役 山元正博
 
      これまでの残飯養豚における課題
      GEN方式を利用した問題の解決法
      河内菌の免疫抵抗力増強効果
      羽田空港における試験結果
      霧島高原ビールにおける残飯麹養豚


     
最終回
 
分析・論評「水田農業の担い手・就農構造の現況と趨勢」 (農業政策米・麦
 
   「自立的米作経営「構造」は目標割り7万戸弱に」
       週刊農林編集部
 
      構造展望と水田作認定者
      水田作認定者7万増も所得500万円以下6割
      自立的経営と水田作主業
      3ha以上層2.6倍増約14万戸、15年にシェア2割
      規模別米作農家の構造変動
      担い手の生産調整対応構造
      農業法人と集落営農
      水田作農業法人903、水田作参入法人53
      米作農家の全体構造
      図1.米作主位の水田農業経営の推移と2015年推計
      図2.作付規模別米作農家の推移
      図3.認定農業者の推移
      図4.営農類型別の認定状況


     
読み切り
 
解  説「IPCC報告、農水省地球温暖化・森林吸収源対策推進本部」農業政策米・麦野菜・果樹
 
   「気温上昇2℃へは排出量半減必要」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第3作業部会は5月4日、地球温暖化防止対策とそれによる経済損失を示した報告書をまとめた。それによると、産業革命以前より気温上昇を2.0−2.4度にとどめるためには、2050年の二酸化炭素排出量を半減させる必要があると指摘した。こうした地球温暖化ガス防止対策にかかる経済損失は、2030年時点で世界の国内総生産(GDP)の最大3%程度にとどまると見通した。これでIPCC第1−3作業部会のすべての報告が出揃い、11月にスペインで開かれるIPCC第27回総会で正式に承認される。農林水産省はこれに先立つ4月25日に地球温暖化・森林吸収源対策推進本部を開き、第2作業部会までの報告書を検討し、わが国農林水産業の適応策と品目別適応策(素案)をまとめた。森林吸収源対策、バイオマスの利活用をはじめとした地球温暖化防止策を推進し、地球温暖化の進行の緩和に積極的に貢献するとともに、地球温暖化適応策についても積極的に取組む。6月中にも品目別適応策レポートとその工程表をまとめ、7月に策定する地球温暖化対策加速化方針に反映する。
 
 
農林水産ニュース&解説
 
 食品・安全
    農水省が食品安全性リスク管理を優先的に行う有害微生物リスト(7種)を指定
 
畑作・果樹
    08年産春野菜の10a当たり農業所得は施設の冬春ミニトマトが最も高く289万円
 
畜   産
    農水省が配合飼料価格上昇対応生産性向上推進会議を設置、バイオエタノール副産物DDGSの飼料利用へ
 
金融・農協
    JA共済連が「次世代リーダー養成コース」を新設し、7月よりスタート
 
林   野
    林野庁の検討会は木材技術開発目標の骨子でをまとめる
 
水   産
    東京水産振興会が養殖した海藻を原料にバイオエタノールを生産する「オーシャン・サンライズ計画」発表