2007年5月15日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)農林抄一覧
 
   「有機農業第U世紀の始まりに」
        日本有機農業学会会長、茨城大学農学部教授 中島紀一
 
 
<書き出し> 国による「有機農業推進基本方針」の策定(平成19年4月27日農水大臣告示)によって、有機農業第U世紀は第1期(平成23年までの5年間)がスタートした。「基本方針」には、推進法で定められた有機農業推進の理念に基づいて、国や地方自治体が有機農業者などと協力して有機農業を推進していく姿勢と方針が示されている。そこでは、有機農業推進のための国、自治体、地域での体制づくりと、誰もが有機農業に取り組めるようにするための技術開発の二つを大きな柱として、第1期5年間を本格的な有機農業推進のための条件整備期間として位置付けている。「基本方針」のこうした枠組みは、迂遠のようにも見えるが、これまで国や自治体には有機農業推進の経験がほとんどなく、地域における有機農業者の数もまだ少数に止まっている現状を踏まえるならば、準備期間5年という設定はむしろ適切な判断であったと考えられる。・・・





焦  点 「森林・林業白書が10年ぶり林業特集」
 
 
 政府は5月11日、06年度「林業白書」を閣議決定した。特集は、「健全な森林を育てる力強い林業・木材産業を目指して」をテーマに、国産材が遅れている品質・性能の確かな製品を効率的に安定供給するための生産・加工・流通体制の整備の必要性を指摘するとともに、バイオマス利用の推進など総合的な需要拡大をめざすことを強調している。林業白書が林業・木材産業を特集のテーマに選定したのは10年振りで、その狙いについて林野庁では「ユーロ高や旺盛な中国需要で外材輸入が減少する一方で、スギ針葉樹合板の高まりやバイオマスなど国産材への関心が高まっており、国内林業が活性化する好機」だからとしている。



解説と論評「有機農業推進基本方針」 (季刊特集有機
 
   「モデル的有機振興地域指定し支援」
       週刊農林編集部
 
      経緯と構成
      新基本計画に位置付け明記
      有機農業推進の基本的事項
      有機農業の推進・普及目標
      品質・収量安定技術の確立を最重点
      有機農業推進施策
      県方針と5年間の実施施策柱に「推進計画」策定


     
読み切り
 
   「有機農業推進基本方針の評価と熊本県の有機農業推進計画の策定方向」
       熊本県農林水産部農業技術課環境保全型農業班長 松田直人
 
      有機農業推進基本方針の評価
      熊本県の有機農業推進計画の策定方向


     
読み切り
 
   「山形県有機農業者協議会の設立と県推進計画策定にむけた提案、取組み」
       山形県有機農業者協議会会長
       山形県おきたま産直センター前代表理事組合長 平田啓一
 
      06年12月設立準備を開始
      07年1月26日県農林部との第1回意見交換会
      3月20日県有協設立総会
      山形の農業をかえるために!
      農水省と山形県への意見・要望書


     
読み切り
 
概説「21世紀新農政2007」 (農業政策
 
   「国民会議設置し食料戦略策定」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 政府は4月4日、食料・農業・農村政策推進本部(本部長・安倍首相)を開き、07年版「21世紀新農政」を決定した。「新農政07」は、経済社会のグローバル化が急速に進展する中で開発途上国の経済発展やバイオ燃料生産の拡大を背景に国際的な食料事情の変化に加え、温暖化防止等地球規模の環境問題への対応が喫緊の課題となっていることから、こうした新たな課題に対して農業や農村が持つ潜在能力を最大限発揮させていくことが「農業を真に21世紀にふさわしい「戦略産業」としていく道」とし、このような視点に立って「食料・農業・農村に係る新たな国家戦略を確立する」方針を打ち出した。その第1弾として幅広い各界有識者の参画を得た「国民食料会議」(仮称)を設置し、刻々と変化し不透明感を増す世界の食料情勢に対応した新たな「食料戦略」を策定する。国内農業の体質強化に向けては、今年度から認定農業者や特定農業団体に対象を限定した品目横断的経営安定対策をスタートさせるなど担い手に施策を集中・重点化し、他産業並み所得を確保し得る「効率的かつ安定的な農業経営」への経営発展を加速化するとともに、面的集積を促進する機能を持つ地域組織が農地の利用を一括預託・再配分する仕組みを構築するなど、農地政策の「抜本改革」を推進する。またバイオマス利活用を加速化するため、「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大」工程表に基づき11年までに5万klgの国産バイオ燃料の生産をめざす。このため全国の農山漁村に豊富に賦存する諸資源を探索する調査活動を支援し、10年度までに地域のバイオマスを総合的に利活用するバイオマスタウンを300地区構築する。さらに「美しい国」の原点である「農山漁村地域を守り活性化する政策」として、団塊世代や若者の活力を最大限活用し地域の創意工夫を後押しする「農山漁村活性化新法」に基づく交流・滞在施設の整備促進や「頑張る地方応援プログラム」による意欲ある自治体の取組支援を新たに実施する。これにより今後5年間に全国の市町村の過半1000以上で居住者や滞在者の増加につながる農山漁村の活性化に向けた新たな取組を創出することをめざす。
 
 
農林水産ニュース&解説
 
 畑作・果樹
    農水省が07年農業技術基本指針を策定。農業生産GAP手法の普及を促進(4/26)
 
食品・安全
    農水省が「食品流通部門構造改善基本方針」とその工程表を策定(4/11)
 
畜   産
    松岡農相がジョハンズ米国農務長官と対日牛肉輸出食肉処理施設の査察で合意(4/20)
 
林   野
    林野庁が国有林野事業07年度取組みで国産材の利用拡大軸に林業・木材産業再生を強化(4/23)
 
水   産
    06年度「水産学進歩賞」に貝毒の一斉分析法を開発した東北区水産研究所の鈴木敏之主任研究員