2007年3月5日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)農林抄一覧
 
   「野草資源を活用する放牧PR大作戦を」
        フリージャーナリスト 吉田光宏
 
 
<書き出し> 近年急拡大している耕作放棄地を覆っている野草が、実は貴重な自給飼料であることを、多くの日本人は気付いていない。その草を牛の飼料として活用する小規模な移動放牧が全国で普及の兆しを見せている。移動放牧の原型となった「山口型放牧」は1989年に県単独事業として始まった水田放牧と、それが進化した移動放牧で構成されている。移動放牧では、棚田地帯などに点在する耕作放棄地を機動的に移動して、草を舌刈りする。飼料コスト削減や省力化、農地保全といった「一石数鳥」だけでなく、農村の景観や文化の保全、自然保護や環境教育、人間と動物の福祉など、さまざまな領域への波及効果が期待できる。放牧普及を支援している「山口型放牧研究会」(元永素会長、250人)が2月に中央畜産会の畜産大賞を受賞した背景には、耕作放棄地解消による農地保全や野草利用による自給飼料確保などへの期待が込められていた。・・・





焦  点 「バイオ燃料生産拡大工程表を首相に報告」
 
 
 安倍首相から「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大」について関係省庁と協力して推進するよう指示を受けていた松岡農相は2月27日、2030年にバイオエタノール600万キロリットル生産を実現するための工程表を作成し、首相に報告した。農相は閣議後の会見で、「600万キロリットルの実現は難しいのではないか」との記者からの指摘に対し、「現時点における可能性、技術開発の見通し、さらには多収穫作物の見通しなど日本の国土全体の可能性を十分に検討した結果、可能である」との見通しに至ったと力説。稲藁・麦藁、資源作物、廃材・残材等木質系のそれぞれから200万キロリットル程度のエタノール生産が可能との試算を示した。



特  集 「飼料自給戦略の研究」<5> (季刊特集畜産
 
   「飼料自給率の向上に向けた飼料作物品種の開発の現状と展望」<1>
       北海道農業研究センター寒地飼料作物育種研究チーム
       トウモロコシ育種グループ上席研究員    濃沼圭一
 
      はじめに
      主な育成品種と有望系統
       ・ぱぴりか
       ・きたちから
       ・ゆめちから
       ・ゆめそだち
       ・ゆめつよし
       ・タカネスター
       ・北交66号
       ・九交128号
      今後の展開方向


     
つづく
 
    「西日本における放牧の新たな展開」<2>
       近畿中国四国農業研究センター
       粗飼料多給型高品質牛肉研究チーム主任研究員 高橋佳孝
 
       草刈りにレンタカウが派遣
       注目を集める緩衝地帯の草刈り放牧
       森林環境税使って里地里山再生に牛放牧


     
つづく
 
    「地域の条件に合った合理的飼料増産の方策」<2>
       〜放牧飼養のメリットと課題〜
       九州大学大学院農学研究院助教授 福田 晋
 
       立地条件に規定される畜産的土地利用
       放牧メリットと獣害対策としての有効性
       放牧地としての共有地の有効利用
       付表・資源循環型畜産の展開フロー図


     
つづく
 
    「飼料作付2万ha増加し90万ha台復活へ」
       〜解説・06年度国産飼料作付実績と07年度行動計画〜
       週刊農林編集部
 
       根釧限定「ぱぴりか」に期待
       作付規模拡大上回る農家減少
       飼料作物から大豆、麦への転作顕著
       稲発酵粗飼料「08年度作付7500ha」目標


     
読み切り
 
 
議論と論点「農地制度改革」 (農業政策
 
    「株式会社参入に調整ルールを」
       〜農地政策有識者会議〜
       週刊農林編集部
 
 
 農地政策の再構築に向けてプロジェクトチームを設置し本格的な検証・検討作業に入っている農林水産省は1月30日、各界の有識者から農地政策再構築の方向について意見を聴取するため「農地政策に関する有識者会議」(座長・高木賢元食糧庁長官)と、その下に専門的・法制的な事項について意見を聴く場として専門部会を設け、それぞれ初会合を開いた。初会合では、最大の課題である担い手への農地の面的利用集積による経営規模拡大が進まない要因として転用期待で農地価格が高いことが指摘され、土地利用転換による開発利益は課税等により公共還元することで保有を続ける動機を小さくすべき。面的集積の規模単位については農業法人から「面的に大きければ良いというわけではない」「一日(最悪でも半日)の作業工程でできる面積1〜1.5ha(半日で60a)でまとまっていれば圃場間は離れていても構わない」、担い手間の交換による集積に「所有者の了解を得ずにできる仕組み」の検討を求める意見が出た。
 
    農地政策の再構築へ検証・検討を勧告
       〜規制改革会議が第3次答申〜
 
 
<要旨> 政府の規制改革・民間開放推進会議は第3次答申を安倍首相に提出した。答申は農地制度改革について利用集積を加速化するため所有と利用を分離し経営的利用をさらに促進し、利用本位の農地政策としていくため、農地政策全般の再構築に向けて検証・検討を行うとともに、農地利用権の設定や賃貸借契約は民法上の上限期間20年まで可能である旨周知徹底し、設定期間・契約期間の長期化に取り組む。農業経営に意欲的な株式会社一般の新規参入を促進するため、農業生産法人以外の一般法人であっても農業参入区域内であれば耕作放棄地以外の農地でもリースができることを周知徹底するよう勧告した。関連する認定農業者制度については、認定手続きの透明性を確保するため市町村の独自判断基準を公開し、認定審査における第三者機関の設置、第三者機関からの意見聴取が全国的に行われるよう必要な措置をとる。農業委員会の在り方については、@農業委員会が中立性を確保し構造改革を促進する組織として機能を発揮するため選任委員に中立的な第三者である学識経験者が参加できるよう委員選出制度を改めるA農業委員には「農業経営のスペシャリストをめざす者」である認定農業者など今後の農業の担い手となる者を増やしていくべきであると提言している。
 
農林水産ニュース&解説
 
 畜   産
    春休み生乳需給緩和で北海道で生乳廃棄の懸念高まる。都府県も余乳増加見通しで処理混乱もを強化
 
金融・農協
    中央防災会議が水産中心被害に激災指定基準を新設。海面養殖被害に県単位の被害指標を設ける(2/27)
 
林   野
    林野庁が天然更新活用へ森林法改正。伐採2年以内の植栽規定を緩和
 
水   産
    水産庁が新たな「海洋水産資源の開発及び利用の合理化を図るための基本方針(案)」をまとめる(2/20)