2007年2月5日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)農林抄一覧
 
   「鶏インフルエンザは人間への警鐘」
        農政ジャーナリスト 横田哲治
 
 
<書き出し>鶏は息を引き取る時「クウー」と声を出す。強毒性のウイルスが気温が下がるのを待ちかねたように鶏に感染している。宮崎県の清武町、日向市、さらに岡山県へ飛び火した。今回、茨城県で発生した600万羽の鶏をと殺したときとの違いを挙げると、次のような点がある。第一に素早い対応がある。隠すことなく現場の様子を伝えた。第2に採卵鶏でなく肉用種鶏だった。第3に強毒性のウイルスだった。そして、養鶏場は、茨城県は70万羽といったウインドレスの鶏舎だったが宮崎県は1―5万羽といった規模は、小さいものだった。いま、感染源が探策されている。昨年、韓国でも発生している。中国は、5億羽の鶏が飼養され、ウイルスの発生は常態化しており、ウイルスは渡り鳥が感染源と指摘している。もし、そうだとしたら鶏舎に防鳥ネットをはりめぐらすだけでウイルスの侵入を防ぐことができるのだろうか。野鳥が鶏舎に侵入しなくても飼養している鶏にウイルスが感染すると考える必要があるのではないか。・・・





焦  点 「コメ中国輸出再開で合意」
 
 
 松岡農相は1月18日、中国の李長江国家質量監督検験検疫総局長と会談し、日本のコメ輸出を解禁することで基本合意した。03年2月に貯蔵米で発生する害虫「カツオブシムシ」が確認されたことで、中国側は日本からのコメ輸入を禁止していた。実務担当者レベル会談ですでに防虫駆除の技術的な解決が確認されており、今後は検疫措置の具体的な手順を詰める。松岡農相は「順調にいけば7月頃早場米の輸出が可能になる」と見通した。日本の対中コメ輸出量は年間数トン程度だったが、会談で中国側が数万d程度を販売する意向を示したことから、農相は「今後に多くを期待したい」としている。



新春特集 「飼料自給戦略の研究」<3> (季刊特集
 
T 飼料穀物をめぐる国際需給と価格動向の情勢分析
 
   「飼料穀物の国際需給・価格動向の現状と展望」<3>
       飼料輸出入協議会専務理事 江藤隆司
 
      世界トウモロコシの需要は産業用途で伸びる
      トウモロコシが価格引き上げの牽引役
      世界の需要は米国産トウモロコシに集中、依存
      米国トウモロコシの需給と価格動向と展望
      高値による需要の抑制が……
      付表 世界の小麦とトウモロコシの期末在庫見通し
      付表 世界のトウモロコシの需要見通し


     
最終回
 
V 飼料自給率向上への将来ビジョンと戦略的グランドデザインの提案
 
   「生産現場から持続可能な畜産を展望する」<3>
       北里大学獣医畜産学部教授
       フィールドサイエンスセンター長 萬田富治
 
      平成18年6月の発表事例から
      有機畜産に期待できるか
      放牧による畜産の再生
      肉用牛の放牧
      放牧による子牛生産


     
最終回
 
   「日本の飼料自給戦略に関する生態学的考察」<2>
       宮崎大学農学部附属
       自然共生フィールド科学教育研究センター教授 西脇亜也
 
      放牧
      食品残さ利用
      穀物系飼料の必要量


     
最終回
 
解説「2007年度 粗飼料自給率向上対策」農業政策畜産
 
    「生産基盤、増収、多給技術確立を加速」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨>政府は粗飼料の全量国産化により飼料自給率を03年度の24%から15年度には35%に引き上げる政策目標を掲げ、昨年度から本格的に取組んでいる。しかし、05年度の純国内産飼料自給率は25%、粗飼料自給率も76%(03年度76%)と目に見える事業効果は出ていない。とくに粗飼料自給率は90年度よりも9ポイントも下落している。目標とは裏腹に、飼料作物作付面積、また単位面積当たり収量が減少しているのが大きく響いている。こうしたことから、国産粗飼料の自給率向上の取組みを一層加速するため、基幹事業となる「耕畜連携水田活用対策」を一律的な助成方式から地域の創意工夫を活かした事業を採択できるとともに、助成単価も地域が決定できるように手直しした。また草地畜産基盤整備事業、酪農飼料基盤拡大推進事業を継続して粗飼料生産基盤の拡大を目指すとともに、国産粗飼料増産対策事業や強い農業づくり交付金、未来志向型技術革新対策事業で国産粗飼料増産への総合的な対策を仕組んだ。この一方で国産粗飼料需要増大へ技術的なバックアップとして、粗飼料多給型畜産の実現をめざし、@自給飼料の生産量・質の画期的な向上によるTDN(可消化養分総量)増産A自給飼料多給を基本とする効率的な畜産生産技術――等の開発を進めている。
 
       耕畜水田活用対策は創意工夫型
       エコフィードも新たな一歩
       TDN収量3割増をめざす
       自給飼料生産の低コスト化
       粗飼料多給型畜産の実証浸透を


     
読み切り
 
分析と解説「内閣府『食料供給に関する世論調査』」農業政策
 
    「国民の5割が食料自給率60〜80%望む」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 日本のカロリーベースの食料自給率が40%であることに国民の7割が「低い」と感じていることが、内閣府の「食料の供給に関する特別世論調査」でわかった。6年前の2000年調査時より17ポイントも高くなっている。この背景には、8割近い国民が、近年の石油高騰や中国が世界のいたるところから資源を買いあさっている現状から、「食料資源戦争の様相を呈している」国際情勢の変化を敏感に感じ取り、輸入が「大きく減ったり、止まったりする」のではないかと将来の食料供給に強い不安を持つようになったことが挙げられる。この不安感は00年の調査時点から強まっているのが特徴だ。さらに昨今の地球温暖化による異常気象災害の発生や内外の不作が不安感を助長している。こうした国際情勢の変化に反応した不安感から8割の国民は将来、食料自給率を50%以上に引き上げるべきだと考えており、具体的水準として60−80%を望む国民が5割と最も多い。自給率を上げるための今後の「食料生産・供給のあり方」については、9割近くがコスト削減しながら国内生産を拡大することを支持している。この数字は政府調査としては過去最高だ。とりわけ主食であるお米は自給して欲しいという気持ちが強まっている。一方安い外国産を輸入するほうがよいと考えている国民は初めて10%を切り過去最低となった。自給率向上施策については、7割強が「食育」の推進や国産農産物の消費促進など消
費面からの取組み拡大と、消費者ニーズにあわせた国内生産拡大という、生産・消費両面を組み合わせた施策の構築、展開を望んでいる。
 
     読み切り
 
解説「農山漁村活性化戦略」農業政策
 
    「ブランド確立で高付加価値化を」
       〜農山漁村活性化へ9戦略提示〜
       週刊農林編集部
 
 
 松岡農相はこのほど、農山漁村活性化推進本部(本部長:福井農林水産大臣政務官)が取りまとめた「農山漁村活性化戦略」を「地域活性化策に関する政府の取組に関する関係閣僚による会合」に報告した。「「攻め」の姿勢で地域に新たな風を」とサブタイトルした「農山漁村活性化戦略」は、農山漁村活性化の「主役は地域」であり、「地域自ら考え行動する」ことを基本に、地域自らが焦点を絞って活性化方策を決定し、具体的な活動方針を定めて戦略的に取り組んでいくことが不可欠と力説。地域が自ら考える参考となる具体的な手法を「9つの戦略」として提示するとともに、それぞれに対応した農水省の支援策「活性化に向けた戦略のポイントと農林水産省の施策」を添付している。
 
     読み切り
 
特 集 「2007年度 農林水産主要新規施策の解説」<中>  
 
       森林・林業再生への新たな挑戦
 
「美しい森林づくり」の推進と森林吸収源対策への取組/森林施業の集約化活動の促進/木材の生産・流通に関する構造改革の推進/ニーズに対応した木材供給・利用拡大に向けた取組の推進/安全・安心の確保のための効果的な国土保全対策の推進
 
     つづく