2005年11月5日号
   
 

 

 

  

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農林抄 (論説)
 
   「アメリカ牛肉輸入再開を巡って」
        農政ジャーナリスト 横田哲治
 
 
 BSEの汚染国・アメリカからの牛肉輸入は引き続きしてはならない。BSEは単なる特定危険部位の排除とか、牛の月齢の問題で処理されるものではない。食品安全委員会はアメリカのBSE汚染の可能性は非常に低いという結論を出して輸入再開へ向けて動き出そうとしている。果たしてどこがアメリカの牛肉のBSE汚染の可能性が低いといえるのだろうか。東京銀座で道行く人に献血を呼びかけている。しかし、献血をしたくても出来ない人たちがいる。BSE汚染国で発生国でもあるイギリスに在住していた人たちの血液は献血できないのだ。イギリスに昭和55年から平成8年の間一日でも滞在した人は献血してはならない。この現実とBSE汚染国であるアメリカからの牛肉輸入再開を、どう理解したら良いのだろうか。BSEの怖さは今更言うまでもない。・・・


焦  点 「経営所得安定対策大綱が決定」
 
 
 政府は10月27日、07年度から導入する品目横断的経営安定対策を柱とした経営所得安定対策等大綱を決定した。品目横断的対策の対象は、麦、大豆、テンサイ、でんぷん原料用バレイショ(外国との生産条件格差是正対策は米も対象)で、これまでの全農家対象の助成から一定規模以上の担い手に限定し集中的に支援する。規模要件は、耕作面積4ヘクタール以上(北海道10ヘクタール以上)が原則だが、条件不利地域や有機・複合経営については知事申請による緩和基準を設けた。集落営農組織も経理一元化や地域の農地の3分の2以上の利用集積目標等の条件を満たせば対象となる。来年の通常国会に関係法案を提出し、6月にも申請手続きを行う方針。



秋季特集 「日本型直接支払いと新米需給システムへの提言」<4> 季刊特集
 
    「将来を見据えた実のある農業改革を!」
       藤澤流通・マーケティング研究所代表 藤澤研二
 
      米需要者惹起型の生産へ転換
      10、20年後を視野に産地づくりを
      米価下落ショックで意識改革も
      経営力サポート体制整備を


     
読み切り
 
解  説「2006年産畑作物価格・関連対策」   米・麦・大豆農業政策
 
    「新経営安定政策視野に良品生産強化」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨>政府は10月7日、06年産畑作物価格と関連対策を決定した。今回は07年産から導入される品目横断的な経営安定対策への移行を見据えての議論となった。生産コストの低減を受けて価格水準は引き下がったが、多くの品目で関連対策により現行水準の実質農家手取りが確保された。焦点となったのは、小麦では実需者が改正を求めている播種前契約のアローワンス(15%)を超過した追加契約麦の引き取り問題で、新たな経営安定政策に向けた議論のなかで早急に検討することとなった。また、大豆では大豆作経営安定対策の交付額抑制と良品質大豆生産への誘導を強めるため、「非銘柄大豆」を交付金対象外とする案を示した。しかし、自民党との折衝では非銘柄大豆の一網打尽的な交付金外しに批判が集中、このため@大・中粒品種のうち生育不良により小粒化したものA新品種として導入中のものB特定の実需者と結びついているもの――は交付対象とし、これ以外の在来品種等の非銘柄大豆は交付対象外とした。テンサイ、サトウキビは生産向上を果たしてきた既存事業を廃止し、新たに産地構造改革を進める基金を新設した。でん粉原料用バレイショでは、でん粉工場の廃水処理緊急対策を拡充し、技術実証の成果を実用化につなげる取り組みに1500億円を新たに措置した。なお、07年産からは、小麦、大豆、テンサイ、でん粉原料用バレイショの4品目は「品目横断的政策」に転換。サトウキビとでん粉原料用カンショの2品目は「品目別政策」に転換する。
 
     <解説項目>
      小麦
      大豆
      テンサイ
      サトウキビ
      でん粉原料用バレイショ
      でん粉原料用カンショ
      付表・2006年産畑作物価格
      2004年産畑作物生産費


     
読み切り
 
シリーズ「ちいサイクル・おお交通」<19>         
 
    「救い主・木製ガードレール」〜信州から〜
       週刊農林編集部
 
      景観を壊すガードレール
      木柵は景観も環境も回復
      「この国の形」問いかけ


     
読み切り
 
解  説「WTO農業交渉再開後の論点・争点」           (国際
 
    「輸出国が上限関税70〜100%提案」
       週刊農林編集部
 
      ACP連携で押し返せるかが焦点
      重要品目数1%対15%で対立


     
読み切り
 
トピックス「全農米穀事業改革」             (農協改革米・麦・大豆)     
 
    「流通コスト3割削減で農家手取り最大化」
       週刊農林編集部
 
      販売対策費や数量契約方式廃止
      共同計算結果の周知例制定


     
読み切り
 

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