2005年6月15日号
   
 

 

 

  

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農林抄 (論説/2004年度 水産白書の論評の評価)
 
   「さらなる親しさと、さらなる分析を」
       21世紀の水産を考える会代表理事 河井智康
 
 
 水産基本法が発効して以来、水産白書(旧漁業白書)は国民全体に水産の現状を知らせ、今後の方向を示すものになった筈である。しかし、わかりにくい解説があったり、逆にもっと分析を加えないと実態を理解できないのではないかと思われるところが目につく。3点ほど指摘してみたい。第1点目はトピックスに関する記事である。6件のトピックスの中で、国民的に関心を呼ぶのはクロマグロの世界初の完全養殖の成功と、青色発光ダイオードを集魚灯に使用できるという話題ぐらいであろう。いや、もっと解説が親切であればWTOの動きも関心の的になったかもしれない。しかし残念なことに、・・・


焦 点 「コメ価格センターが不正取引防止策」
 
 
 全農秋田県本部によるコメ架空取引問題を受けコメ価格センターは6月7日、不祥事の再発防止策を決めた。同センターは「全農秋田の不公正事案は、入札取引、米の価格形成に対する信頼性を根幹から揺るがす極めて悪質なもの」と遺憾を表明。不祥事の再発防止策では、@集荷団体に「集荷量の3分の1以上の上場」を義務付け、取引数量を大幅に増大することで架空取引による価格操作を困難にさせるA県本部等と子会社の系統卸の役員を兼職している場合は、県本部・経済連と系統卸との間の基本取引における入札取引を認めない――等を講じ、コメの価格形成に対する信頼回復を図る。6月に実施する基本取引から適用する。



解説と論評 「2004年度 水産白書」                 (水産
 
    「青背魚復権と自給率向上に光明」
       週刊農林編集部
 
    5POINT解説
 
      生産量はピーク時の半分
      沖合漁業は10年前より単価向上
      「食育」推進し肉から魚へ
      総供給量は依然過多の状況
      「国産」魚介類が増える政策を
 
 
 政府は4月22日、04年度の水産白書を閣議決定した。特集では、@近年の漁業経営をとりまく環境の変化と課題A漁村の現状と水産業・漁村の多面的機能――の2つの特集を掲載した。「近年の漁業経営をとりまく環境の変化と課題」では、厳しさを増している漁業経営の状況について影響要因として魚介類の消費動向や流通経路の変化を分析、また生産者の取組みを紹介した。ただ、いずれの分析も解説が弱く、要点や課題が解りづらい。消費動向の変化による魚価低迷の分析からは、本来ならば近年の消費不況による需要減退と、こうした中における輸入問題を浮き彫りにしなければならなかったはずである。こうした中で漁業復権への光明として、アジ、サンマ、イワシ等の青背魚が機能性訴求から復権の兆しが見え始めてきた。また、03年の食用仕向け魚介類の自給率が6年ぶりに上昇したことも朗報である。水産白書が「今後の水産施策の展開に向けた議論や対話を促進する一助」(むすび)になるには、自給率向上と国民の関心が高い青背魚の復権を今白書で大々的に取り上げる必要があったのではないか。


     
読み切り
 
 
季刊特集「新基本計画と21世紀食料・農業・農村戦略の研究」<5>  (季刊特集基本法
 
    「生活者から見た新基本計画」
       農業ジャーナリスト 大野和興
 
      グローバル化で崩れ始める世界の農業
      生活者ニーズに背く新計画
      集落営農の「効率経営」は自己矛盾
      グローバルに対峙する仕組みつくろう


     
読み切り
 
季刊特集「21世紀農業技術開発戦略の研究」<9>      (季刊特集
 
    「技術研究開発の経済学」<2>
       経済産業研究所上席研究員 山下一仁
 
      農政の矛盾と技術開発の混乱
      経済政策の目標と適正技術の選択
      モジュール化


     
読み切り
 
トピックス                        (農協
 
    「種市全農会長が秋田本部事件で引責辞任」
       週刊農林編集部
 
      系統卸が03年産98件も高値落札
      秋田県警が国と全農の告訴受理


     
読み切り
 
 

農林水産ニュース&解説

 
 総合・米穀
    秋田県警が秋田県本部前部長らに対する国と全農の告訴を受理(6/6)
 
米穀・水田
    コメ価格形成センターが全農秋田県本部による米価釣り上げ操作事件を受けて「不正行為」防止策を策定(6/7)
 
食品・安全
    厚労省がポジティブリスト最終案まとめる。715物質に暫定基準、一律基準は0.01ppm
 
畑作・果樹
    大豆情報委員会が2005年産大豆収穫量4割増の23万トンと見通す。新たな契約栽培取引も導入(6/7)

 畜   産
    中国国内の口蹄疫発生拡大を受けて中国産稲わらの輸入を一時停止(5/28)

 金融・農協
    全中が新基本計画で農協離れに危機感、JAグループの販売戦略再構築に着手
 
林   野
    国際自然保護連合(IUCN)が世界遺産登録の相応しいと好評価をユネスコに送付(5/31)
 
水   産
    2004年度主要漁港の上場水揚量が2.9%減の286万4000トン。トップは焼津が3年連続トップ