2004年11月5日号
   
 

 

 

  

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農林抄 (論説/有機畜産物JASへの提言)
 
   「基準からは農業は産まれない」
       茨城大学農学部教授
       全国産地産直地リーダー協議会常任顧問  中島紀一
 
 
 いま農業界では基準や規範の策定がブームとなっている。いずれも案文はデスクワークでつくられ、上から下へと提示され、結果として農業者はそれに縛られていくと言う点で共通している。工業のセンスからすれば基準や規範はいわば設計図にあたり、製品はそれにそって生産されることになる。だが、農業の場合はそうはいかない。農業の新しい姿は農業の実際のなかからしか産まれない。外から押しつけられた基準や規範からは新しい農業は作れない。どうもこのことが理解されていないように思えてならない。 有機畜産のJAS規格案(有機畜産基準)が作成された。おそらく来春からはこの基準が法的に実施されることになる。内容はCODEXの基準準拠である。一読したが、この基準実施を日本畜産の発展に寄与させたいという視点は感じられなかった。有機農産物のJAS基準が実施されて4年たった。それは日本の有機農業の発展にほぼ全く寄与せず、逆に外国の有機農産物の輸入を急増させている。有機畜産基準の策定と実施に当たって有機農産物基準のこうした苦い経験はどのように考慮されているのだろうか。 ・・・


焦 点 「中越地震で農林水産業被害甚大に」
 
 
 10月23日に起きた新潟県中越地震による農林漁業被害は新潟県によると、29日現在で農業用施設が総計158カ所、農地は74カ所で13・6f、農業集落排水処理区は19市町村で60カ所など、まだまだ集計段階にあり今後も増えていくと見られる。農林水産省では24日に新潟県中越地震災害対策本部を設置し、新潟県の要請に対して乾パン・乾燥米飯約9万2000食を供給した。また、食品関連団体にも食料供給への協力を要請し、27日までにおにぎり等24万個、弁当等約14万食、パン35万個、即席めん4万5千食、飲料水約3万ケース、育児用調製粉乳、ベビーフード、雑炊、朝食シリアル、ソーセージ等が被災地に供給された。



解説と論評 「米国産牛肉輸入再開で日米共同声明」       (畜産
 
   「20カ月齢以下、SRM除去が条件」
      〜枝肉成熟度で月齢判別可能か〜
       週刊農林編集部
 
      成熟度では30カ月齢以下としか判別できず
      米国の都合の良いデータを評価するしかない
      BEVプログラムで21カ月齢以上入る確率検証を


     
読み切り
 
特  集「有機畜産物JAS規格案の評価と提案」<2>      畜産有機農業
 
    「有機畜産JASと有機畜産のあり方」
       シンボライズファーム亀田牧場代表・JAS調査会部会委員 亀田康好
 
      農林物資規格調査会部会
      有機畜産の必要性
      有機畜産の可能性と課題


     
読み切り
 
    「有機畜産物JASと有機畜産の展望」
       大地を守る会理事 吉田和生
 
      食の信頼性と生産確保
      表示制度としての「有機畜産物JAS」
      安全性に関する疑問
      有機飼料の調達
      輸入品との格差
      大地を守る会が推進する有機的な畜産


     
読み切り
 
解説&論評 「食料・農業・農村政策審議会企画部会」     食料・農業・農村基本法/基本計画
 
    「品目横断的経営安定政策の経営対象4ヘクタール以上、14ヘクタール未満」
       週刊農林編集部
 
      拙速避け、まずは品目別で構造改革を
      所得減でなく収入減に補填
      付表・品目横断的経営安定政策の水田策経営規模要件イメージ


     
逐次掲載
 
 

農林水産ニュース&解説

 
 食品・安全
    農水省が生鮮魚介類表示調査、小売店の2割が不適正表示。初めて成分分析を導入(10/22)
 米穀・水田
    2004年産水稲の作況指数が台風・長雨の影響で3ポイント低下の98と2年連続不作見通し(10/15現在)
 畑作・果樹
    葉物野菜高騰で農水省が前倒し出荷や並級野菜出荷促進など緊急野菜供給対策を発動(10/26)
 畜   産
    農水省研究会が乳用子牛補給金算定で規模拡大を算定要素に反映する報告、補給金単価は下げ方向へ(10/21)
 金融・農協
    中越地震による農業被害が徐々に明らかに。台風被害総額は9/31現在で5962億円
 構造・農村
    農水省が企画部会に担い手の規模要件示す。クリアできる都道府県経営は2〜9%程度
 
林   野
    環境省が世界の炭素税評価まとめる。(10/21)
 
水   産
    水産庁がノリIQ枠を来年から韓国以外にも認める方針を発表(10/22)