2008年4月15日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)農林抄一覧
 
   「放牧酪農が日本酪農を救う」
       酪農学園大学教授 荒木和秋
 
 
<書き出し> 飼料価格の高騰によって日本の畜産は苦境に立たされているが、その救済の切り札が放牧である。飼料基盤の乏しい都市近郊酪農は難しいかもしれないが、飼料基盤が強固な北海道や都府県の中山間地では可能である。現在、北海道根室地区の年間生産量3千トンを超えるメガファームの経産牛1頭当たり濃厚飼料量は4102キロであり、これは道平均の2971キロを38%も上回るものである(「年間検定成績2006」)。飼料基盤が豊富な北海道においてさえ、都市近郊酪農と同じような加工型畜産が展開しており、そのことが今日の畜産危機を招いている。その原因は第一に国の酪肉近計画の規模拡大政策と高泌乳牛政策にある。現在も億単位の畜舎施設建設の補助金政策によって大規模化が進められているが、多額の負債を伴う資本投下は生産量の拡大を要求し、そのため頭数増と濃厚飼料の多給による個体乳量の増大が農家に要求される。個体乳量の増大は一面では乳牛の遺伝能力向上研究の成果であるものの、別の側面として濃厚飼料の多給によるものでもある。・・・





焦  点 「バイオ燃料1リットル40円計画」
 
 
 経済産業省と農林水産省は3月26日、食料と競合しないセルロース系バイオ燃料生産に向けた技術革新計画を発表した。同計画は、技術革新により2015年までに1リットル40円(税抜き)を実現する壮大なプロジェクト。そのバイオ燃料資源として注目するのが、エリアンサスやミスカンサスなどの多収量植物と、ヤナギやポプラ、ユーカリなど早生広葉樹だ。目標とする収量は、草本類が1ヘクタール当たり年50乾燥トン、木質系が同17乾燥トンである。こうした乾物重量で67万トンの資源を得るためには、1万3270ヘクタールの栽培規模が必要になる。ここから得られるバイオ燃料は10−20万キロリットルで、技術効率化等により1リットル40円を実現する。



春季特集「遺伝子組換え農作物研究の展開」<2> (季刊特集
 
   「遺伝子組換え(GM)作物と国際アグリビジネスをめぐる状況」<1>
       宮城大学食産業学部教授 三石誠司
 
      世界の穀物需給状況とGM作物栽培状況
      10年間で生産量を5倍にすることが可能か?

     
つづく
 
   「病害抵抗性遺伝子組換え農作物の研究開発動向」<1>
       作物研究所稲遺伝子技術研究チーム長 大島正弘
 
      資源研でいもち病の軽減を確認
      NPR遺伝子で病原菌侵入抑制
      組換えでコートタンパク質生産

     
つづく
 
解  説「農水省知的財産戦略本部『地域ブランド化基本戦略』」 (政策
 
   「地域の創意工夫が育てる『地域ブランド』」
 
      地域ブランド確立への13課題
      期待膨らむ「地域活性化効果」
      地域ブランドが目指す姿
      力がある「地域ブランド」確立
      農林水産物・地域食品における地域ブランド化のプロセス

     
読み切り
 
解  説「海外食料需給レポート2007」<2・コーン> (政策
 
   「過去最大級のコーン生産量」
 
      8・9%増の7億6670万トン
      08年度は大豆作転換目立ち作付8%減
      付表・世界のコーン生産の状況
      付表・世界のコーンの期末在庫量(水準)の推移
 
トピックス (技術
 
   「第4次緊プロ11機種を開発」
 
      売れる農機づくりめざす
      開発過程で産地と連携
      海外に効率的な供給
 
 
農林水産ニュース&解説
 
 経営・構造
    農水省が農村振興に向けて「都市と農村の協働の推進に関する研究会」を設置(4/1)
 
米麦・水田
    農水省が国と都道府県が把握する水稲の作付面積統計の乖離解消に着手
 
畜   産
    農水省が08年度の飼料自給率向上行動計画で飼料作物作付面積2万f拡大めざす(3/24)
 
畑作・果樹
    農水省がウリミバエ防除放飼に使う新系統種を輸入できるよう法整備
 
農協・経済
    JA共済連が生命・建物分野の保障、および若年世代の死亡・後遺害保障にかかる改訂(4/1)
 
食品・安全
    農水省と経産省が農商工連携88選として選定(4/4)
 
環境・技術
    月桂冠総合研究所がセルロースから直接エタノールを生産する新しい技術を開発
 
林   野
    林野庁が世界遺産登録を目指す小笠原諸島の国有「森林生態系保護地域」として保全管理する総合的指針(3/27)
 
水   産
    水産総合研究センターがカンパチ養成親魚の飼育環境条件制御で従前よりも半年早い採卵に成功