2006年11月25日号
   
 

 

 

  

数量     
   



農林抄(論説)「農地改革への提言」
 
   「農業委員会のがんばりにも限界がある」
        茨城大学農学部助教授 安藤光義
 
 
<書き出し> 冷たく言ってしまえば耕作放棄地とは農地の需要に対し供給が過多状態にあることの結果である。この需給のアンバランスを解消するには、農地の需要を増やすか、農地の供給を減らすしかない。後者は農地面積の絶対的な縮小を意味する。どうにもならない農地であればそれもやむを得ないと思うが、国民への安定的な食料供給に必要な農地面積の確保という観点からすると採り得るものではない。残された選択肢は前者である。これは担い手不足問題と言い換えられる。農地の耕作希望者を増やすには農産物価格を上昇させるのが最も効果的だが、WTOは生産刺激的な政策を禁じているためそれはできない。それゆえ農産物の価格形成は基本的には市場メカニズムに委ねたうえで農地に対する需要をいかにして増やすかというのが耕作放棄地問題なのである。しかし、これは非常に困難な課題である。そして、この無理難題解決の重責を担わされているのが農業委員会系統組織である。・・・


焦  点 「有機議連が『有機農業推進法』案提出へ」
 
 
 超党派の「有機農業推進議員連盟」は11月13日、有機農業の技術開発や普及指導、広報活動などを国と地方自治体に義務づける「有機農業推進法案」を今国会に提出する方針を決定した。同法案は有機議連が2年間の検討を経て議員立法としてまとめたもので、今国会での成立をめざす。同法案では有機農業を「化学肥料や農薬を使用せず、遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本とする」と定義し、有機農業を推進することにより農業の持続的な発展と環境と調和した農業生産体制を構築することを目的としている。また安全で良質な農産物を供給するため、基本理念に流通・販売への積極的な支援も盛り込んだ。



ル  ポ「変動する中国農業」 (国際ルポ・読み物
 
    「最新中国の農村・農業事情」
       〜要素移動の自由化で豊かに〜
       評論家・元国民経済研究協会理事長 叶 芳和
 
      変わるのは簡単
      農地流動化と規模拡大
      農家が3分の1になれば農村は豊かになる
      要素移動の自由化


     
読み切り
 
特  集「農業の起源と農業文明の研究」<2> (ルポ・読み物
 
    「アワ・イネ・コムギの三角関係」<2>
       〜作物からみた中国文明の起源〜
       金沢大学文学部(中国考古学)助教授 中村慎一
 
      4000年前、黄河に小麦・稲出現
      小麦は西アジアから遊牧民が伝播
      稲作は国家制度携え華中から北上


     
つづく
 
    「粟作の起源は8000年以上前に遡れるか」
       〜中国の畑作の起源と黄河文明の研究状況〜
       週刊農林編集部
 
      6000年前の貯蔵穴88基から粟50トン超発見
      磨製製粉具根拠の推論に慎重論も
      冷涼化が禾本科植物の栽培化促す


     
読み切り
 
分析と解説「土地改良制度研究会報告」
 
    「一筆複数参加資格認める方向へ転換を」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 現行土地改良制度の運用実態の検証を踏まえた今後の土地改良制度のあるべき姿について検討していた「土地改良制度研究会」(座長・三野徹京都大大学院教授)は、制度のあるべき方向性について報告書を取りまとめ、山田修路農水省農村振興局長に提出した。報告書は、土地改良施設の適正かつ円滑な管理のあり方について、今後、更新時期を迎えるものが大幅に増加すると見込まれることから、施設の長寿命化を図りライフサイクルコストを低減させ組合員の負担軽減を図っていくため、組合員にあらかじめ修繕を含めた管理事業や更新事業の概要を示し、理解を得て計画的に事業に取り組めるような方策や土地改良施設の修繕・更新費用に充てる資金積立てを円滑に実施できる仕組みを検討するよう提言した。
 
農林水産ニュース&解説
 
 食品・安全
    厚労省が牛乳ペットボトル容器の使用で食品安全委員会に健康影響評価を依頼、乳業メーカーは導入に消極的(11/14)
 
畑作・果樹
    近畿大学・豊田秀吉教授が静電気を利用して栽培施設への病害虫侵入を防止する新技術を開発(11/14)
 
畜   産
    農水省が家畜排せつ物利用促進を基本方針(骨子案)で「堆肥化を基本とした経営内利用」を原則化する考え(11/1)
 
金融・農協
    組合組織、事業・経営指導に関する基本方針<上> 全中がJA全国大会決議の実践に向けて中央会の指導方針の改正案(11/9)
 
林   野
    会計検査院が日本森林技術協会への委託事業「森林資源モニタリング調査」で3616万円の不当支払を指摘(11/10)
 
水   産
    07年TAC決まる。唯一増枠はズワイガニのみで、7魚種中5魚種が前年を下回る。サバ類管理期間を実態に則し見直し(11/10)