2006年11月15日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)「新水産基本計画と漁業振興への提言」
 
   「意識改革にも継った『ほたて管理情報システム』」
        野辺地町漁業協同組合総括課長 小又文男
 
 
<書き出し> 平成15年12月システム導入以前のほたて貝の出荷は、主に加工用に向けたものであり系統向け以外の活ほたて貝は、地元の一部か職員の関係者等極一部の方への出荷が主であった。他の漁協では、すでに一般の消費者に向けた宅配業者や郵便局等との契約により出荷件数を伸ばしていることや広大な漁場を持つ北海道産がその地位を揺るぎないものとしていた。「二番煎じではダメだ」ということから自分たち独特なものはないかと考えていたが、行政から「トレーサビリティシステムの補助金制度」があるとの情報を得て行動に移した。この補助金制度は上限額の設定と5割の補助金率だが、現状を打破するには出費もやむを得ないと考え決定、前進することとした。今思えば決断は正しかったと思っている。・・・


焦  点 「首相がバイオ燃料増産を農相に指示」
 
 
 安倍首相は11月1日、松岡農相を官邸に呼び、バイオエタノールの国内生産を年間ガソリン消費量の約1割に当たる600万klに増産することを、関係省庁と協力し実現するよう指示した。わが国ではバイオエタノール生産は実証試験段階にあり、生産量も年30klにすぎない。原料調達が最大の課題になるが、安部首相は「テンサイ、サトウキビなどの原料を得やすい北海道と沖縄をまず製造拠点とする」案を農相に提案。松岡農相は「大特急に取組む。課題は大きいが、農業の食料以外のエネルギー生産にも大きく貢献でき、農業・農村の活性化、また地域の雇用、所得の向上など果たす効果は大きい」と意気込む。



秋季特集「新たな水産基本計画と漁業振興への提言」<2> (季刊特集
 
    「水産基本計画見直しの中間論点整理を読む」
       東京大学社会科学研究所教授 加瀬和俊
 
      はじめに
      論点
       (1)施策の対象を限定することの意味
       (2)経営安定対策
       (3)価格政策の可能性
       (4)漁港事業の位置づけをめぐって
       (5)漁協の組織と経営をめぐっって
      提言


     
読み切り
 
    「地域の産学官連携による水産業振興」
       〜函館国際水産・海洋都市構想について〜
       公立はこだて未来大学教授 長野 章
 
      はじめに
      函館市の合併と函館国際水産・海洋都市構想の概要
      具体的な研究成果と水産業への波及
      国際水産総合研究センター構想の概要


     
読み切り
 
新規特集「農業の起源と農業文明の研究」<1> (ルポ・読み物
 
    「粟作と中国古代文明」<1>
       金沢大学文学部(中国考古学)助教授 中村慎一
 
      はじめに
      考古学から見た中国粟作の起源
      紀元前5500−6000年の大量のアワが検出


     
つづく
 
解説「立ち上がる農山漁村有識者会議が提言」
 
    「立ち上がる地域公募、支援集中を」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 立ち上がる農山漁村」の選考委員である「立ち上がる農山漁村有識者会議」(座長・林東大大学院教授)がこれまでの活動や調査を通じて得られた知見を踏まえ、今後の農山漁村振興の展開方向について「自ら考え行動する農山漁村活性化」とサブタイトルした提言を取りまとめ、政府の食料・農業・農村政策推進本部に提出した。提言は、多くのものが簡単に入手できるようになるなかで、逆に他にはない、農山漁村でしか手に入らない環境、景観、文化などに対するニーズが高まっているとし、これを「新しい市場」「地域振興の市場」と捉え、この新市場を活用し農山漁村を振興するには、これまでの行政の指導・助成による画一的な施策から各々の地域が持ち味を十分に活かし、互いに切瑳琢磨し競い合うことで農山漁村全体をより活性化する方向に導く施策に転換すべきと指摘し、国に果たすべき役割を提言した。
 
分析と解説「宮腰農地政策勉強会の検証と課題」<4> 農業政策
 
    「期限付き転用禁止区域制度検討を」
       週刊農林編集部
 
      計画的な土地利用の推進等による優良農地の確保
      現行運用では優良農地400万ha割れ必至

 
農林水産ニュース&解説
 
 畑作・果樹
    農研機構・野菜茶業研究所が受粉や植物ホルモン処理なしでも実の着くナス「あのみのり」を育成(10/31)
 
畜   産
    中央酪農会議が脱脂粉乳在庫統計の訂正と指定団体の聞き取り調査の結果から下期の生乳削減追加策見送り(11・1)
 
金融・農協
    農林中金と全農、共栄火災海上保険が「系統素畜導入資金対応措置」を創設。JAからの融資に限界者に追加資金(11/1)
 
林   野
    <森林総研最先端研究> 手入れ不足の人工林や皆伐地を放置して針広混交林や広葉樹林に誘導できるか――
 
水   産
    CCAMLR年次会合が公海域での底曳き網漁業を09年まで暫定的に禁止することで合意(10/23〜11/3)