2006年10月15日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)「日豪FTA論議への論評」
 
   「農のミッション―日豪FTA論議に寄せて」
        東京大学農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘
 
 
<書き出し>豪FTA(自由貿易協定)の実現可能性の検討が年内完了に向けて大詰めを迎え、豪州は、日本の各方面に積極的な働きかけを行っている。日本の産業界も全体としては支持する声が優勢で、またぞろ日本農業が障害だとする論調が展開される可能性がある。豪州の一戸当たり耕地規模は約4000ヘクタールで、日本と実に三けたも違う。このような土地賦存条件の差は、努力で埋められる限度をはるかに超えている。つまり、最大限効率化しても日本農業が豪州とコスト面で競争できる見込みは限りなくゼロに近い。したがって、単位あたり生産コストに圧倒的な格差があり、羊毛等の他品目からの転換の可能性も考えると、仮に除外や低関税枠の提供などの柔軟な対応のない日豪FTAが成立したら、日本の米、麦、砂糖、乳製品、牛肉など国内生産は大きな影響を受けると考えざるを得ない。直接支払いで補填するにも財源がパンクする。日豪FTAの要否について、日本農業への打撃が大きく、農家が困るから問題だというだけでは、国民に対して十分な説得力を持たない。そうではないのである。・・・


焦  点 「森林整備財源に道路財源が浮上」
 
 
 環境税導入が厳しい状況にある中で、冬柴国交相は9月26日の就任会見で、道路特定財源の一般財源化に伴う使途について「二酸化炭素を削減する事業に使えるのではないか」との認識を示したことで、導入が難航している環境税に替わる森林整備財源としての期待が膨らんできた。松岡農相は10月6日の会見で、「京都議定書の目標において森林の目標が達成できなければ、他の分野がその分を担わなければならい。これは経済活動にとっても大きな制約になり、そういう意味で森林整備は必要。財源を国交大臣から協力をするということについては大歓迎」と大きな期待を寄せた。



特  集「世界を脅かす鳥インフルエンザの予防と対策」 (畜産
 
    「今冬、鳥インフル再流行!?」
       農政ジャーナリスト 横田哲治
 
      御料牧場近接地で発生
      御料牧場に学ぶ
      感染拡散する鶏糞


     
読み切り
 
寄  稿「WTO農業交渉プロセスの分析と対応戦略」 国際
 
    「WTO交渉決裂と今後に向けて」
       東京大学農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘
 
      米国の穀物等への国内補助金―法律論の限界
      カナダの用途別乳価制度はクロ判定
      カナダと類似していても米国の乳価制度はクロにならない
      データ提出を拒否して抵抗する豪州
      図・おおまかな輸出補助金の分類と輸出補助金相当額(ESE)


     
つづく
 
解  説「宮腰農地政策勉強会取りまとめ」<2> (農業政策
 
    「農業委員会指導の低調要因分析を」
       週刊農林編集部
 
      担い手へ農地の利用集積の促進
      遊休農地の発生防止・解消措置の強化


     
最終回
 
解  説「食料コスト縮減アクションプラン」
 
    「安価な輸入肥料を43%に拡大」
       週刊農林編集部
 
      委員会設置経緯とプラン策定趣旨
      コスト縮減の考え方と効果
      2割安い低コスト支援農機は54%に拡大
      低価格資材供給等による
      生産コスト縮減
      ダイレクト物流へ電子商取引市場5割拡大
      経営規模拡大等による生産コスト縮減
      卸売市場改革等による流通コスト縮減
      大口割引拡大などJA系統の経済事業改革推進
      消費者ニーズへの効率的な対応によるコスト縮減
      JA系統の経済事業改革
      今後のスケジュール


     
読み切り
 

農林水産ニュース&解説

 
 食品・安全
    牛乳需要の落ち込みに加え、脱脂粉乳需要の大不振で、下期の生乳生産量に大きな影響
 
畑作・果樹
    農林水産省が新たに「国産大豆の安定供給確保のための流通基本要領」(案)まとめる
 
畜   産
    家畜改良センターが和牛肉のおいしさの決め手となる遺伝子を発見(10/2)
 
金融・農協
    全農が現行のAコープチェーンを来年3月末に解散し、新組織「全国Aコープ協同機構」を発足(10/5)
 
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水   産
    水産総合研究センターが近海マグロ延縄、海外巻き網、大中型巻き網で経営効率化を目指す実証化調査