2006年3月5日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)「コメ先物市場への提言」
 
   「実物をバックに影響力を行使する」
        作家 島 実蔵
 
 
 昨年12月、東京と大阪の商品取引所がお米の先物取引(試験)上場を申請した。戦前の取引所は米穀配給統制法の発動で日本米穀株式会社に一本化され、昭和14年から翌15年にかけて先物取引所は解散になったから、上場が実現すればまさに67年ぶりの復活ということになる。わたしはコメに関しては素人の消費者でしかないが、たまたま商品先物の会社に30年も勤めていたからマーケット論者だったし、先物の歴史を研究するうちに、江戸時代のお米屋さんたちが世界で最初に先物取引を完成させたという事実に興味があった。米会所を舞台にした小説「大坂堂島米会所物語」を書きあげたのが94年で、テレビドラマ化されたのが98年。幕藩体制の米価調整と食管法によるコメ政策がダブって見えて、新聞紙上でコラム「コメが大変」を40数回も連載するなど、かれこれ15年近くもおコメの透明性とマーケット化を訴えてきた。・・・


焦  点 「スギ着花対策効果を誇張」
 
 
 林野庁は2月21日、ホームページに掲載している「スギ・ヒノキ花粉に関する情報」で、雄花着花量に着目した抜き伐りの効果について、着花量が50%以上減少した事例は全体の4分の1しかなかったのに、「雄花着花量が事業実施前に比べ約50%程度減少している」と事業全体が大きな効果を上げているように誇張していたことが明らかになった。林野庁では「88件のデータのうち、23件が着花指数が50%を超えていたため、技術開発の目標という意味合いから表記した」と説明したが、不正確な情報発信に対して謝罪した。ただ、大小はあるものの80箇所で着花の減少が報告されており、事業自体の有効性を否定するものではない。



新春特集 「大豆自給戦略の研究」<6>        (季刊特集
 
    「持続的な三つの安定(供給・価格・品質)確保を強く希求する」
       全国味噌工業協同組合連合会専務理事 榎本光正
 
      味噌の生産量・大豆使用量
      月別・産地国別大豆使用量
      味噌用大豆の適性要件
      国産、潜在的需要は不変
      表1・平成15年〜17年味噌生産量・同大豆使用量
      表2・味噌用原料大豆 国別使用状況(全国味噌工業協同組合連合会集計)


     
読み切り
 
    「転作大豆を加工し『生しぼり豆乳』に」
       JAあきた北央営農部長 田中安規
 
      非加熱・生しぼり製法開発
      ヨーグルトのようなまろやかさ
      関東・県内40軒に業務向け販売
      新品種・新用途開発で作付け拡大へ


     
読み切り
 
トピックス「世紀の大発見!! ウナギの謎に挑む」   (水産
 
    「ニホンウナギ産卵場を突き止める」
       週刊農林編集部
 
      アリストテレスもお手上げ!?
      海山がウナギのデートスポット
      世界初の親ウナギ観察に挑む
      海流を乗り間違えない知恵
      図・ニホンウナギ仔稚魚の分布


     
読み切り
 
概  説「担い手経営安定新法など農政改革関連3法案を閣議決定」<1>   (農業政策
 
    「食料安定供給上の重要5品目に位置付け」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨>政府は2月24日、担い手経営安定新法(農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律)案を柱とする農政改革関連3法案を閣議決定し、国会に提出した。関連3法案の一括審議で早期成立をめざすため、通例より半月ほど早い提出だ。担い手経営安定新法は、昨年10月に省議決定した経営所得安定対策等大綱の品目横断的政策の骨格のみを法案化したもので、本則10条のコンパクトな条文構成。具体的な生産条件格差補正交付金と収入減少緩和交付金の交付対象者の資格要件や特例措置などは政・省令で示す。交付対象農産物である米、麦、大豆、甜菜、澱粉原料用馬鈴薯は食料安定供給上の重要品目と位置付けた。また二つめの対象者資格要件である環境規範の遵守、いわゆるクロス・コンプライアンス規定を農業関係法としては初めて書き込んだ。早ければ5月に成立する。施行は07年4月1日の予定。
 
    概説「改正糖価調整法、改正食糧法」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨>砂糖とでん粉に関する制度の新たな基本方向の提言を受けて政府は2月24日、糖価調整法の改正、およびこれを実施するための農畜産業振興機構法、麦の品目横断的経営安定対策の導入に伴う食糧法の一部改正案を閣議決定した。食料・農業・農村基本計画の見直しに向けた中間論点整理、砂糖・でん粉検討会、麦政策小委員会による見直し提言の内容に即し、改正するもの。糖価調整法は題名を「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に改変し、でん粉に関する事項を追加する。主な改正点は、輸入でん粉等に関し価格調整を行う仕組みを創設するとともに、甘味資源作物、でん粉原料用いもに関する交付金を交付する仕組みを措置する。麦では無制限買入の廃止、政府が保有する外国産麦の輸入価格変動を反映した売渡、またSBS方式が導入される。これらの改正を受け、甘味資源作物の生産振興や製造事業者の直接的な規制を定めている「甘味資源特別措置法」、でん粉への支援措置が砂糖及びでん粉の価格調整法に盛り込まれたことで「農産物価格安定法」は廃止する。いずれの法律も施行日は07年4月1日。
 
      図1・新たな政策支援のイメージ
      図2・新たな政策に係る資金の流れ
 
トピックス「07年移行判断へ米政策改革全体を徹底検証」   (農業政策
 
 
 <要旨>農水省が07年産から「農業者・農業者団体が主役」となる新たな米需給調整システムへの移行をめざし検証作業、議論をスタートさせた検証検討会と食糧部会へJAグループの意思反映を図るため全国農協中央会は2月8日、水田本部委員会を開き、米の需給調整の実施状況や米の価格・流通、水田農業の構造改革、作物対策など、米政策改革全体について徹底検証し、これを踏まえ担い手の所得確保対策や作物対策など移行条件の整備や改善策を確立したうえで、新たな需給調整システムに移行すべきかどうか判断することを決めた。
 

農林水産ニュース&解説

 
 水田/構造
    コメの落札残発生で農水省がコメ価格センターの取引検討会を設置、販売計画数量3分の1以上の上場義務廃止を提案(2/16)
 
食品・安全
    地域ブランド保護を目的とした改正商標法が4月1日から本格施行、地域名と商品の名称の商標登録可能に
 
金融・農協
    農水省が系統金融と漁協系統信用、共済事業の総合的な監督指針改正案と系統金融代理制度を導入する関連法改正案(2/22)
 
林   野
    市瀬とジャパンエナジーが間伐材や林地残材等の輸送費を負担し、チップとして紙製品に積極的に活用(2/6)
 
水   産
    水総研が食品添加物を使った簡便な魚の麻酔剤を開発、製造コストも従来品の1割以下
 
 

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