2005年7月15日号
   
 

 

 

  

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農林抄 (論説/粗飼料自給率100%達成目標への論評)
 
   「飼料用イネ超える『ノットグラス』」
       宮崎大学農学部副学部長 杉本安寛
 
 
 わが国の畜産は、BSE、口蹄疫、偽装肉など内憂外患の様相を呈しているが、粗飼料自給率100%達成への努力は、憂い払拭する方向であることに間違いない。ところで、九州におけるその方向として、(1)飼料作物栽培における土地利用率の向上を計る。九州の平地ではトウモロコシ・ソルゴーとイタリアンライグラスの2毛作栽培が一般的であったが、むしろ各々を1作栽培する傾向が強くなった。増頭に伴う労力不足が2毛作栽培を減少させた一因であろう。コントラクター等の整備を通じて、再度土地利用率の向上を計る必要がある。(2)休耕田を含めた耕作放棄地の有効活用。水田転作、高齢化、労働力不足などで、全国的に遊休農地が拡大している。遊休農地の拡大は景観と環境に悪影響を及ぼす。転作水田が遊休地化している例も多いが、水田は多様な機能を備えた優れた生産装置である。・・・


焦  点 「食育基本法が15日施行」
 
 
 子供が「食」に関する適切な知識を身につけることにより健全な食生活を実現し、健康増進を図ることを目的にした「食育基本法」が7月15日、施行された。食育基本法では、「国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育の推進に寄与する」を基本理念に、国、自治体、学校、家庭、農業・食品産業による食育の重要性とその取組みを示した。首相を会長とし、新設する食育担当大臣ら関係閣僚と有識者で構成する「食育推進会議」を9月上旬に内閣府に設置し、食育推進に当たり各層が取組むべき具体策を盛り込んだ基本計画を策定する。都道府県、市町村段階にも、食育を推進する会議を設置する予定だ。



特  集 「粗飼料自給率100%に向けた戦略」      (畜産農業・環境政策
 
    「コントラクター展開のための基礎条件」
       名古屋大学大学院生命農学研究科助教授 淡路和則
 
      はじめに
      受委託の意識形成
      ひとづくり
      連合会の重要性
      地域のまとまりを活かす
      付表1 コントラクター選択の理由
      付表2 作業面積と作業効率(デントコーン収穫)


     
読み切り
 
    「粗飼料自給率向上に向けた新たな研究」
       〜地域農業確立総合研究「中山間耕畜連携」の目指すもの〜
       近畿・中四国農研センター総合研究部
       総合研究第1チーム長     佐藤節郎
 
      「中山間耕畜連携」とは
      飼料用稲の低コスト生産
      飼料用稲を中心とした粗飼料の栽培・収穫・調製
      耕畜連携の安定的な持続に向けて
      付表1 耕畜連携の意義
      付表2 鉄コーティング種子
      付表3 畦畔からの播種、乗用管理機からの播種
      付表4 鉄コーティング湛水散播直播及び乾田散播直播の雑草防除処理


     
読み切り
 
    「概説 食品残さ飼料化マニュアル」
       週刊農林編集部
 
      品質安定と低価格実現が鍵
      飼料価格1キロ30円未満が目標
      食品残さ飼料化技術


     
読み切り
 
解  説「集落営農実態調査」(新基本計画と21世紀食料・農業・農村戦略の研究<6>)
 
    「直接支払い対象集落営農は3割」
       週刊農林編集部
 
      一元的経理8割見込み
      法人化計画・予定は2割程度
      6割が集落営農の組織化必要


     
読み切り
 
概  説「食育基本法」                 (食育
 
    「南極海ミンク捕鯨調査を倍増」
       週刊農林編集部
 
      食を通じて生きる力を育む
      ようやく成立、7月15日施行
      民主、社民は最後まで反対姿勢
      国民は「健全な食生活維持」責務


     
読み切り
 
 

農林水産ニュース&解説

 
 食品/果樹
    米国産りんご火傷病検疫措置に対するWTO紛争は日本が全面敗訴、農水省が検疫措置を改定(6/23)
 
畜   産
    農畜産業振興機構が乳用種牛肉の市場開拓に着手、協議会設置し飼養技術向上など
 
金融・農協
    農水省経済事業改革チームが中間報告<上> 行政主導で全農改革を推進、ガバナンス最適化は結論でず(7/5)
 
総   合
    全中が新たな経営所得安定対策の確立に向けた今後の取組みまとめる(6/16)
 
林   野
    林業公社累積債務解消へ地方からの提言相次ぐ。地方自らの手での解決限界に
 
水   産
    農水省が改正水産資源保護法施行規則を一部改正、輸入防疫対象疾病と対象魚等を定める