2010年3月25日号
   
 

  

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焦  点 「大西洋マグロ管理へJAS法改正を」
 
 
 ワシントン条約の締約国会議は3月18日、第1委員会で大西洋・地中海クロマグロの国際取引を禁止する提案を反対多数で否決した。モナコ提案以降、EUや米国が禁輸支持を表明し、最大輸入国であるわが国は危機感を強めていたが、68対20という大差で否決された。大西洋・地中海クロマグロ資源の枯渇は蓄養向けの過剰漁獲が原因で、ICCATがほぼ全ての生産国で違法行為を行った例があると報告するなど、保全・管理体制は形骸化している。他方、わが国のJAS法では給餌した水産物はすべて「養殖」と表記をするため、蓄養マグロも『養殖マグロ』の表記になる。マグロ資源管理へはJAS法改正がその第一歩だ。



農林抄(論説)農林抄一覧
 
   「政治主導における「審議会」とは」」
       週刊農林編集部
 
 
 10年度畜産物価格・関連対策が2月24日に決定した。政権交代後初の畜産物価格・関連対策とあって、価格決定に至るまでの行程に多くの関係者が戸惑い、とくに食料・農業・農村審議会畜産部会は困惑を隠せなかった。畜産部会に対し、政務三役が「あくまでも意見を伺うだけで、決定するのは我々の役目」と政治主導≠事前通告していたのだ。従来、畜産部会では答申と併せて、関連対策の策定への意見として「建議」を行っていたが、今回は「意見の概要」の扱いにとどまった。自民党政権下では諮問当日朝に開かれる党専門部会で主
要な関連対策を決定し、畜産・酪農関係者らに通知された。畜産部会ではこれを念頭に議論を行い、答申していた。いわば、審議会は、党決定事項の追認機関として形骸化していた。
 今回は、農林水産政策会議にさえも価格等の諮問や関連対策についての協議もなく、関連対策が事前に示されることはなかった。このため、畜産部会の議論では「諮問については関連対策の拡充が条件」との留保条件を付ける意見があがった。鈴木宣弘部会長も「畜産部会として意見の概要にまとめた内容を関連対策にしっかり盛り込むことで畜産部会の答申とする」という条件付きの答申を確認し、畜産部会として決議したが、部会終了後に会見した山田副大臣は「そうしたことは答申に示されていない」と、審議会は諮問以外のことを議論する必要はないと言わんばかりに鰾膠(にべ)もなかった。農水省は「建議」を行わなかった理由について、「政治主導の一言に尽きる」と説明する。
 こうした審議会に対する政治主導の通告≠ヘ今回に限った話しではない。食料・農業・農村基本計画を議論している企画部会も同様だ。「意見を聞く場」としての扱いに加え、3月末の基本計画策定に向けて企画部会とかけ離れたところで報告書づくりが急ピッチで進められていることに、不満を持つ委員も少なくない。さらに、森林・林業基本計画の見直しに至っては審議会に諮問せずに、農相を本部長とする「森林・林業再生プラン推進本部」を設置し、改定作業に着手した。これなどは本来なら審議会マターの課題である。政治主導の名のもとで「審議会」が軽視されている。鈴木宣弘氏は「政治主導と審議会の関係、また答申のあり方を整理する必要がある」と指摘する。
 民主党では「政策決定の政府一元化」を目指すため、政策調査会を廃止した。しかし、党内では「一元化システム」が政策立案に携われる国会議員を政務三役に絞り込んでいることへの不満が強まり、国会議員が政策を議論する「議員政策研究会」の設置を決めた。しかし、従来通り「事前審査」は認めず、政策決定の政府一元化は維持する方針だ。これで与党と政府の関係は一応の整理がついた格好だが、残るは政治主導と審議会の関係整理である。審議会は国民が参加する機関として重要な政策方針を策定したり、答申を行う合議制の場である。形骸化していた審議会を軽視するのではなく、国民主権の合議制の場として有効に活用してこそが、民主党が掲げる「国民の生活が第一」に向けた改革の拠り所となるのではなかろうか。(全文掲載)



特集 「食料自給力向上へ米粉需要を創造する」<8>季刊特集 
 
   「お米革命〜日本の食材が世界を変える〜」<1>
       群馬製粉(株)取締役社長 山口慶一
 
      米粉を和菓子から洋菓子にも普及
      お米革命はマクガバン・レポートから
      日本食が世界で高評価
      世界初の「J麺」を発表

     
つづく
 
   「米の機能性成分と米粉利用」<3>
       九州大学大学院農学研究院教授 佐藤 光
 
      機能性タンパク質の開発
      米糠層の機能性成分
      おわりに

     
おわり
 
解説&論評「農業6次産業化法案」政策 
 
   「農林漁業総合化し6兆円産業創出」
 
      法案に特例、支援措置明記
      研究開発、成果利用も支援対象
      異業種連携も事業対象に
      小水力・太陽光発電も展開

     
読み切り
 
   主な畜産物・関連新規対策の解説
 
連載「2019年における世界の食料需給見通し」<4>政策 
 
   「中国の豚肉消費1700万トン増」
 
      北米が牛肉輸出地域に転換
      鶏肉は輸出入とも大きく増加
      牛肉に関する地域別予測結果
      豚肉に関する地域別予測結果
      鶏肉に関する地域別予測結果

     
おわり
 
農林水産ニュース&解説
 
 経営・構造
    農水省が「農山漁村地域整備交付金」(予算額1500億円)の骨子をまとめる(3/11)
 
米麦・水田
    水田・畑作経営所得安定対策交付金過払いが新たに約1350万円、不足払い1120万円見つかる
 
畜   産
    中酪が新たな消費拡大対策、牛乳消費喚起対策事業を決定(3/3)
 
畑作・果樹
    農水省が新たな「花き産業振興方針案」をまとめる。日持ち保証販売を推進(3/15)
 
農協・経済
    全中が通常総会で10年度の事業計画や収支予算を承認(3/5)
 
食品・安全
    農水省研究会が一層の卸売市場の再編を推進する報告書骨子(3/19)
 
環境・技術
    産業技術総合研究所と北興化学工業がバラの花のような多弁咲きシクラメンを開発(3/16)
 
林   野
    国産材の加工・流通・利用検討委員会が国産材の加工・流通構造の改革を検討(3/3)
 
水   産
    大西洋クロマグロをワシントン条約附属書Tへ掲載するモナコ提案が否決(3/18)