2006年9月25日号
   
 

 

 

  

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農林抄(論説)「バイオマス燃料開発への論評」
 
   「国産バイオ燃料に本腰を入れよう」
        東京農業大学客員教授 白岩 宏
 
 
<書き出し>アメリカの気象学者の最高権威といわれるNASAのジェームス・ハンセン氏は、地球温暖化による壊滅的な事態を避けるのに残された時間は10年だと予測している。炭酸ガス放出を抑制し、地球温度の増加を摂氏1度以内に抑える努力をしなければ、温度は2―3度上昇し、地球は異なった惑星になると警告している。温暖化対策は待ったなしである。先日米国上院の公聴会で農務省のキース・コリンズ氏が、バイオ燃料の現状と将来展望について開陳した。2001年に16億ガロンだったバイオエタノール生産が今年は50億ガロンと6年間で312%の急成長を続けている。昨年成立した包括エネルギー政策法によって2012年のバイオエタノール使用基準数量が75億ガロンと定められたが、ここ数年以内に前倒しでこの基準値を超える予想になっている。・・・


焦  点 「吉野家牛丼が復活」
 
 
 吉野家ディー・アンド・シーは9月18日、米国産牛肉を使った牛丼の販売を全店(約1000店)で再開した。昨年2月の1日限定販売を除くと、2年半ぶりの復活。今回は、「牛丼復活祭」と銘打ち、1日限り。100万食を売り切れるまで販売した。販売価格は並盛が380円、大盛480円と販売休止前より100円高いが、多くの牛丼ファンが各店で長蛇の列をつくった。同社によると、当日の売れ行きは「台風の影響を受けた宮崎県の店舗を除き完売だった」。次回は10月1−5日、1日100万食を提供、11月初旬にも同様のキャンペーンを展開し、12月から時間限定ながら通常販売する予定だ。



特  集 「農地制度改革の研究」<1> (農業政策
 
    「利用本位の農地制度改革」
       ―企業参入は優良農地の開放で―
       評論家・元国民経済研究協会理事長 叶 芳和
 
      企業の農業参入の実態
      マーケティング不要の農業参入
      米国も主流は借地農業
      所有権移転は政策要求の主体なし
      借地市場で優良農地を自由化せよ
      付表・ 米国の自・小作別農家数の推移


     
つづく
 
解  説「06年全国資源評価会議」 水産
 
    「マイワシ資源量がさらに悪化」
       週刊農林編集部
 
      ゴマサバ漁獲にシフトを
      マイワシ漁獲量4割削減目標
      スケトウ資源管理で日本海北部に「禁漁水準」設定
      スケトウ太平洋系群は「減少」に下方修正


     
読み切り
 
解  説「経営所得安定対策等実施要綱」<3>農業政策
 
    「先進営農支援10a3000〜1万8000円」
       週刊農林編集部
 
      農地・水・環境保全向上対策の支援水準
      共同活動支援は活動面積2倍拡大に振替え特認


     
最終回
 
解  説「先進的営農支援技術検討会中間とりまとめ」農業政策
 
    「先進営農経費は「資材費+労働費」掛増しで算定」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨>「経得等大綱」で枠組みが決まった「農地・水・環境保全向上対策」の柱である環境保全に向けた営農活動を支援する「先進的営農支援」の具体的な技術的課題を検討していた農水省の「先進的営農支援に関する技術検討会」が「中間とりまとめ」を行った。「中間とりまとめ」は、@化学肥料・化学合成農薬の原則5割以上低減を実現する技術体系は、5割以上の低減を効率的・安定的に実現するための技術を組み合わせたものとし、水稲や麦・大豆、キャベツ、トマト、リンゴ、茶など14品目群で策定するA「先進的取組支援」単価を算定する際のベースとなる「掛かり増し経費」は、代替技術導入により化学肥料や農薬を地域の慣行栽培より5割以上低減している農家の経営費調査を基に土作り、化学肥料低減、化学農薬低減の各掛かり増しをそれぞれ「資材費(燃料費含む)の掛かり増し+労働費の掛かり増し(労働時間の掛かり増し×時間当たり労働費)」で算出し、各要素ごとの掛かり増し経費を合算して算定するB化学肥料・農薬の低減割合の特例は、現行技術で5割低減が困難な品目で、都道府県要望を基に3.5割までの低減割合を地域を限って認め、今回11都道府県から要望があった11品目のうち、ナシ、モモ、ブドウなど6品目で6県に特例を認めるC化学肥料・農薬の大幅使用低減に相当する環境保全に貢献する先進的取り組みは、不耕起栽培と冬期湛水を組み合わせて行う取り組みとするD環境負荷低減に向けた共同の取り組みは、浅代掻きなど、圃場からの環境負荷の流出を抑制する取り組みや「地域協議会」が特に必要と認め、国が承認したものも対象にできる――というものである。
 
 

農林水産ニュース&解説

 
 食品・安全
    日本豆乳協会と食品・飲料メーカーが「豆乳習慣普及委員会」設立。10月12日を豆乳の日に定める(9/7)
 
畑作・果樹
    DNAマーカー技術を使った優良な野菜づくりに向けた技術開発が加速
 
畜   産
    静岡県が中国最高級品種の「金華豚」と県高品質系統豚を掛け合わせた新品種「ジンホァフジロック」開発
 
金融・農協
    農林水産省によると05年度農協系統金融機関のリスク管理債権が4910億円減の1兆7320億円と大幅に減少
 
林   野
    なかなか進展しない木質バイオマス利用の拡大に向けて、総合的対策事業がようやく始まる