2005年8月5日号
   
 

 

 

  

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農林抄 (論説/農村地域再生・活性化戦略への提言)
 
   「農村ふるさと再生への道」
       農村環境整備センター主任研究員 重岡 徹
 
 
 21世紀の初頭にあって、農村は疲弊し、停滞化し、荒廃化している。とりわけ中山間地域では過疎化が一層深まり集落全体の高齢化によって地域社会存亡の危機に立ち至っている所も多い。このような事態を招いた要因の一つに日本の食料自給率の低下がある。食料生産に携わる人々は自信や誇りを喪失し、ひいては、心の過疎という事態に及んでいる。農村域住民の心の問題という視点から農村で暮らしている人々が、そこに住み続けることの意味、農村を存続させることの意義を再認識し、農業を続け農村環境を守り育てていくことへの自信や誇りを回復するために「国民のふるさと」としての「農村」再発見という課題を提起したい。・・・


焦  点 「全農新会長に裄V副会長が就任」
 
 
 度重なる業務改善命令、全農秋田の不祥事の責任をとり種市一正全農会長が7月29日の通常総代会で辞任、後任の新会長に裄V武治副会長(全農新潟会長)が新たに就任した。新理事長には、関水賢司常務が昇格した。裄V会長は就任会見で「会員農家、消費者の信頼を裏切ったことは誠に申し訳ない」と謝罪した上で、「『新生全農を創る改革実行策』を役職員一丸となって不退転の決意をもって取組み、早期に生まれ変わった全農、信頼される全農が立ち上がるよう努力する」と強く語った。関水理事長も「全農はもう後がない。会長と一身胴体で改革に取組み、社会的存在価値が高い全農を築く」と信頼回復へ意欲を示した。



夏季特集 「農村元気げんき戦略<2>」〜農村地域再生・活性化の研究〜季刊特集
 
    「農村地域再生・活性化戦略への提言」<2>
       明治大学名誉教授・全国グリーンツーリズム協議会長 井上和衛
 
      新基本計画と農村地域再生・活性化戦略
      農村地域再生・地域活性化戦略の基本的視点
      中山間地域再生・活性化モデル 〜京都府美山町の取り組み〜
      付表・ 京都府美山町の交流事業の推移


     
最終回
 
    「農業自立と農村活性化の戦略」<2>
       〜開放型農村の設計〜
       拓殖大学教授・元国民経済研究協会理事長 叶 芳和
 
      地域の活性化戦略
       (1)外部経済の産業化の競争
       (2)UIJによる移住促進
       (3)農転で小規模ビジネス誘致
       (4)まちづくりの地域間競争
       (5)事業する自治体


     
最終回
 
解説と論評「食事バランスガイド」(健康増進・食生活改善・国産農産物消費拡大戦略<6>)
 
    「ご飯でカロリー5割、1日4.5杯」
       週刊農林編集部
 
      副菜5皿、主菜3皿、牛乳1本、りんご1個
      健康食モデルメニュー提案せよ
      20%目標にまず周知、食品産業で活用へ
      付表1・食事バランスガイド
      付表2・対象特性別、料理区分における摂取の目安

 
 <要旨> 改定食事摂取基準と食生活指針に準拠し、国民の健康増進と生活習慣病予防、さらに食料自給率向上の観点から、「何を」「どれだけ」食べたらよいか、食事の望ましい組み合わせや1日のおおよその摂取量をわかりやすくイラストで示したフードガイドを作成した「フードガイド検討会」報告書を踏まえ、厚生労働省と農林水産省は6月21日、日本版フードガイドの名称をバランスよく料理を組み合わせ食べるとの意味をこめ「食事バランスガイド」と命名、そのイラストは食生活のバランスが悪く、回って運動していないと倒れてしまうコマをイメージしたデザインとすることに決定し発表した。このコマのイラストは、料理を5区分し、最上部に望ましい食事摂取で最も重要な「主
食」を置き、その下に不足しがちな「副菜」、摂り過ぎに注意が必要な「主菜」はその下に、一番下には「牛乳・乳製品」と「果物」を並置した。コマの右側には1日に必要な成人の摂取量(エネルギー量2200±200キロカロリー)を示し、主食のご飯はエネルギー総量の5割、中盛りでお茶碗4杯程度(600グラム)、成人男性では5杯程度(750グラム)、子供では3杯程度(450グラム)を目安として示した。副菜の野菜料理は5皿程度、納豆など主菜は肉・魚・卵・大豆料理から3皿程度、牛乳は1本、りんごは1個という単位で表した。全体として本誌提案が相当程度反映され、わかりやすく使い勝手がよくなったといえるが、A5程度の大きさのイラストでは絵や字が小さく見づらいのが難点。伝統的で和食に欠かせない、健康機能性成分を含有し注目されている「お茶」は必須アイテムであり、牛乳・乳製品と果物と並列で入れるべきであろう。「食事バランスガイド」の具体的な活用方法については、基本形と20歳代OL、事務職男性の食事の組み立て方の事例を示したが、単なる組み合わせ事例ではなく、ご飯との組み合せを中心とした、推奨すべき健康食としてのモデルメニュー・レシピを提示すべきである。


     
読み切り

 
 

農林水産ニュース&解説

 
 総   合
    コメ価格センターが05年産米以降の入札取引ルールについて業務規定を改定、3分の1上場復活など(7/12)
 
構造・農村
    日本経済調査協議会が農地制度の抜本的改革などを盛り込んだ提言「農政改革を実現する」を発表
 
食品・安全
    農水省懇談会が食品容器リサイクル市町村回収費用を事業者の一部負担など容リ法改定へ提言(7/8)
 
園芸・果樹
    JAS調査会が有機農産物JAS改正を承認。マルチなど肥資材・農薬以外の資材を規定(7/15)
 
畜   産
    酪農家が中高生男女を対象にした消費拡大キャンペーン「牛乳に相談だ。」。飲用訴求しない新たなPR手法導入
 
金融・農協
    全農新会長に裄V副会長が就任、新理事長には関水常務。現場重視へ理事刷新(7/29)
 
林   野
    ユネスコが「知床」を世界自然遺産登録に正式決定。地元では自然推進への感謝と次世代への責務(7/14)
 
水   産
    農水省水政審がICCAT勧告実行へ東大西洋小型クロマグロ規制。サバ類好漁でTAC大臣管理枠追加配分(7/26)