〔週刊農林26年新年特集号〕新たな土地改良長期計画を展望する1



2026年新年特集号
 


 

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  焦 点 クイズで農作業安全を学ぶ
 
 12月から、全国で「農業機械作業研修実施強化期間」が始まった。農林水産省は12月1日、「農業機械作業研修実施強化期間 研修資材」を作成した。農作業中の死亡事故では全体の62%が農業機械作業によるものとなっており、機械作業の安全対策を学ぶことは農作業安全事故全体の低減につながる。同省では、農閑期にあたるこの時期に農業機械に関する研修の開催を呼びかけている。これに伴い、農作業安全研修資料として、トラクター・刈払機・コンバインの安全に関する知識をクイズ形式で学べる小冊子を作成した。クイズの成答の解説書もセットした。農作業安全クイズで自分の理解度をチェックしながら、農作業の安全意識が高められる。
 
  農林抄(論説)    著者リスト
 
   新酪肉近をめぐって〈2〉
       静岡県立農林環境専門職大学名誉教授 小林信一
 
 
2.肉用牛経営―霜降り志向からコスト低下による低価格牛肉生産が必要
 肉用牛経営のうち繁殖経営は、2016年をピークとする子牛価格の高騰により収益性が改善され、繁殖母牛頭数も2018年には60万頭を回復した。しかし、その後価格の下落が続き、飼料費の高騰・高止まりなど経営環境の悪化によって、近年は収益性が急速に悪化し、頭数や戸数の減少が続いている。・・・続きは本誌で
 
     つづく
 
  新たな土地改良長期計画を展望する〈1〉   (季刊特集著者リスト
 
   食と暮らしを支える水と土の未来のために〈1〉
       農林水産省農村振興局設計課計画調整室長 中西滋樹
 
      はじめに
      土地改良事業の目的
      新たな土地改良長期計画のポイント
      土地改良長期計画の全体概要

     
つづく
 
   新たな土地改良長期計画から今後の土地改良事業のあり方を展望する〈1〉
      ―我が国の挑戦:高水準の農業インフラをいかに持続的に維持するか?―
       総合地球環境学研究所特任教授 荘林幹太郎
 
      世界的に高水準な我が国の農業インフラ
      減耗する農業インフラ
      膨大な農業インフラを支える財政余力は大きくない
      土地改良事業の推進を困難にしている制度的課題

     
つづく
 
  カキ斃死被害への政策パッケージ
 
   カキ養殖業者の経営継続を支援
 
      養殖業者の損害・収入を補てん
      国・県が連携して原因究明
 
  地球温暖化に打ち勝つ〈1〉
 
   高温耐性品種の1等比率に着目
 
      高温耐性品種作付が着実に拡大
      九州地方の積極的導入目立つ
 
  農林水産トップニュース
 
 〔経営・構造〕 財務省財政制度等審議会が水田政策の担い手重点化を求める建議

 〔畜 産〕 農水省が飼養衛生管理者が豚熱ワクチン接種可能とする家伝法改正の方向示す

 〔米麦・食品〕 農水省が食品取引適正化に関する努力義務の判断基準となる省令案を策定

 〔畑作・果樹〕 環境省がハンターの不安払しょくへ緊急重要による責任を明確化

 〔林 野〕 林野庁が国有林野管理経営の今後の対応方向で、国有林を核とする集約化構想

 〔水 産〕 水産庁がIOTCの国際減船の勧告受け、遠洋まぐろはえ縄漁業を再編整備
 
  編集室 新年特集にあたり
 
 
 政府は新たな食料・農業・農村基本法及び基本計画を踏まえ、土地改良長期計画を1年前倒しで見直し、農地の大区画化、中山間地域等における省力化整備、老朽化する農業水利施設の計画的な整備・保全等を進める新たな長期計画(2025〜29年度)を9月12日に閣議決定いたしました。食料・農業・農村基本法及び基本計画では、将来の農業生産の方向性として、「生産性向上」「付加価値向上」「環境負荷低減」を示し、「防災・減災、スマート農業、水田の畑地化も視野に入れた農業生産基盤の整備、老朽化への対応に向けた保全」(第29条)を明記いたしました。新たな土地改良長期計画では、食料・農業・農村基本法及び基本計画等を受け、政策課題として@生産性向上等に向けた生産基盤の強化A農業用水の安定供給及び良好な排水条件の確保B増大する災害リスクに対応するための農業・農村の強靱化C農村の価値や魅力の創出を設定しました。
 我が国農業が抱える最大の問題は、農地の確保はもとより、そこで営農活動を行う基幹的農業従事者の減少ではないでしょうか。基幹的農業従事者数は2000年の240万人から2024年には111万4000人へと、約20年間で半減しました。今後は、各年代層を含む全基幹的農業従事者そのものが大幅に減少し、今後約20年で基幹的農業従事者は現在の約4分の1の約30万人まで激減するおそれがあります。より多くの担い手の確保が必要になりますが、現時点では基幹的農業者を増加させる妙手はなく、今よりも相当程度少ない農業者で我が国の食料生産を支えていかなければなりません。少ない担い手への農地の集積・集約化が急務になりますが、現状は労働時間の大幅な削減を可能とする1f以上の大区画の水田整備率は6%にとどまっています。法人化による農地の集約や経営の大規模化、農業のスマート化による経営効率の向上が急務となっております。
 新たな土地改良長期計画では、「20年後の我が国の農業構造にも対応できるよう、生産性を抜本的に向上させ、将来にわたって食料自給力を確保する」ため、1f以上の大区画農地の整備、管理作業の省力化整備、情報通信環境の整備等を通じてスマート農業技術の導入や農地の集積・集約化を推進する方針を提起いたしました。具体的方策として、「政策課題1:生産性向上等に向けた生産基盤の強化」において、【政策目標1】農地の集積・集約化及びスマート農業の推進に向けた基盤整備による生産コストの低減を掲げました。そこでは、担い手への農地の集積・集約化及びスマート農業技術の導入による生産コストの低減を図るための農地の大区画化、管理作業の省力化に資する基盤整備等の推進に取組むことが示されました。
 一方で、基幹的な農業水利施設については更新整備を進めているものの、標準耐用年数を超過した基幹的施設数の割合は、2007年の42%から2023年には58%まで増えています。特に管水路(パイプライン)については機能診断、劣化予測等が困難な場合が多く、近年、破裂、漏水等の突発事故が多発しています。近年、集中豪雨が激甚化・頻発化しており、今後、短時間強雨の発生回数の増加や降雨規模の増大はますます顕著になると予想され、洪水リスクや老朽化した農業水利施設等の被災リスクが増加しております。新たな土地改良長期計画では、これまでの農業水利施設の長寿命化・耐震化等の防災・減災対策に加え、将来の降雨予測に基づく新たな計画策定手法の導入、防災重点農業用ため池の防災工事等の加速化等を通じ、国土強靱化に向けて取組む方針を示しました。また、近年、渇水及び高温による農作物への影響が顕著にみられます。こうした観点から、流域内の水資源の有効活用により、必要な農業用水の確保を図ることも重要な課題となっております。
 そこで、弊誌では2026年新年特集として「新たな土地改良長期計画を展望する」を企画いたしました。土地改良事業は、我が国の食料安全保障を実現するうえで最も基盤となる政策です。特集では、農業・農村をめぐる情勢や土地改良事業の現状及び課題を明らかにし、新たな土地改良長期計画を通じた農業の将来を展望していただきました。
 ここに掲載いたしました諸論考が農業振興・地域再生への一助となれば幸いです。