〔週刊農林24年6月5日号〕食料・農業・農村基本法改正の論評5、高温に伴う農作物等技術指導の徹底



2024年6月5日号
 


 

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 焦 点 害虫が病気に強くなる仕組み
 
 
 産業技術総合研究所らの研究チームは、害虫が腸内微生物の力で病気に強くなる仕組みを世界で初めて解明した。ダイズの害虫であるホソヘリカメムシの免疫機構を研究した結果、腸内微生物の一部が消化管の上皮細胞を突破し、カメムシの体内で貪食細胞や免疫細胞と相互作用することで全身的な免疫反応を引き起こすことが分かった。さらに、腸内微生物によって免疫系が活性化されたカメムシは、病原菌が感染しても高い生存率を示した。昆虫が、腸内微生物によって病原菌に備えていることはこれまで知られていない。今後は、病原菌への耐性に関わる腸内微生物の機能やそのメカニズムを解明し、生物農薬の効果の向上へ研究を進める。
 
 農林抄(論説)    著者リスト
 
   農業用ため池防災事業に堤体植生配慮を〈1〉
       日本生態学会自然保護専門委員会
 
 
 東日本大震災や西日本豪雨において多数の農業用ため池が決壊し、周辺住民が被災したことを受けて、2030年度までの時限立法として「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」(以下、ため池防災特措法)が制定された(2020年)。現在、農林水産大臣が定める防災工事等基本指針に基づき、都道府県知事が防災工事等推進計画を定め、農村地域防災減災事業として農業用ため池の防災工事が全国で計画・実施されている(NHKの調べでは46都道府県の6160池)。・・・続きは本誌で
 
 特集 食料・農業・農村基本法改正を論評する〈5〉   (季刊特集著者リスト
 
   人新世の開発原論・農学原論の視点から改正基本法を考える〈1〉
     ―食料安全保障に不可欠な食料主権の考え方─
       龍谷大学経済学部教授 西川芳昭
 
      食料安全保障をFAO定義と比較
      「食料主権」組み込まれず
      20世紀的な技術論的問題解決に留まる
      食料主権の中心は市民

     
つづく
 
   食料・農業・農村基本法の改定は食料・農業・農村を救うか〈2〉
       東京大学大学院農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘
 
      田んぼ「潰し」に750億円
      腰砕けの価格転嫁誘導策
      2020年計画と2015年基本計画

     
つづく
 
 持続可能な配合飼料価格制度を確立する
 
   3基金の対応方向がバラバラ
 
      通常・異常基金の一本化は可能か
      飼料高騰で巨額の財源負担
      全農基金は2階建て維持の姿勢
      畜産基金、全日基は3基金統合
      見解示す時期を論点ごとに整理
 
 高温に伴う農作物等の被害防止に向けた技術
 
   野菜、花きでも高温耐性品種効果
 
      今夏のラニーニャ発生確率高い
      高温被害防止技術と熱中症対策
        ・共通事項
        ・作目別対策
        ・野菜対策
        ・畜産対策
 
 高知県「小さな集落活性化事業ハンドブック」
 
   いまできることから始めてみる
 
      集落に入り、話を聞ける人
      対象集落を選定する4ポイント
 
 水田を科学する〈2〉
 
   休耕、放棄は生物多様性影響異なる
 
      多様な生物の生息環境を提供
      生物群によって様々な影響
 
 農林水産トップニュース
 
 〔経営・構造〕 農林中金が外国債2兆円の含み損発生し、健全性確保へ1兆2千億円増資

 〔畜 産〕 農水省が家畜疾病の発生を予防する飼養衛生管理支援システムを構築

 〔米麦・食品〕 消費者庁が届出者に健康被害報告を義務化する機能性表示食品改正案を示す

 〔畑作・果樹〕 農薬危害防止運動が6月1日よりスタート

 〔林 野〕 政府が花粉発生源対策指標を盛り込んだ森林整備保全事業計画を閣議決定

 〔水 産〕 水産庁が30年度を目標年度とする新たなロードマップ(フェーズ2)を策定