〔週刊農林22年新年特集号〕人が住み続ける新しい農村づくりへの挑戦

 

2022年新春特集号
 

 
 

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 焦 点 農村RMO育成へ施策検討
 
 農林水産省は12月10日、新しい農村政策及び長期的な土地利用の在り方で合同検討会を開き、中間取りまとめの対応状況について検証した。新しい農村政策の柱となる「農村RMO(農村型地域運営組織)の育成」に向けて、同省は中山間地域等の効率的な運営に必要な仕組みを構築するため、@農村RMOの形成に向けた計画作成、実証等、地域の取組みの後押しA農林漁業団体等がJAや農業委員会、土地改良区等の地域の関係者と連携しつつ、地方自治体に農用地の保全を図る事業等を提案できる仕組み、また併せて都道府県単位を想定して農村RMO形成の伴走者となる中間支援組織の育成支援を検討していることを明らかにした。
 
 農林抄(論説)
 
   有機農業運動50年から未来へ〈1〉
       元國學院大學経済学部教授 久保田裕子
 
 日本の有機農業運動の草分け、日本有機農業研究会(以下、日有研と略す。)が21年、創立50周年を迎えた。この50年間にわたる活動の歴史は、日本の農業、ひいては社会が直面した課題に真正面から向き合い、「有機農業」という旗印を掲げて本来あるべき農や食の姿を描きつつ、地域に根差した地道な日常活動の歴史である。・・・続きは本誌で
 
 新年特集 人が住み続ける新しい農村づくりへの挑戦<1> (季刊特集著者リスト
 
   ひとが住み続ける新しい農村づくりへの挑戦<1>
       宮城大学名誉教授 大泉一貫
 
      農村政策はむずかしい
      むらがフラットになり、農村づくりの当事者がいなくなった
      村づくりを牽引するか、地域マネージャーと農業経営者

     
つづく
 
   新しい農村政策は農政の枠組みを変えるのか<1>
       東京大学大学院農学生命科学研究科教授 安藤光義
 
      基本法の枠組みと問題点―矛盾・緊張関係の内包―
      日本型直接支払制度が果たす役割―集落の活用―
      基本計画における農村政策―農地保全重視―

     
つづく
 
   共感・協創の農村づくり<1>
      CRC合同会社(地域再生診療所)代表 井上弘司
      
      相互扶助で持続する地域の創造
      叡智を次世代につなぐ
      むらが歩んできた道を見つめる
      「小規模多機能自治」組織づくり
      生き残るための「むらづくり」

     
つづく
 
   農村振興の根源的な問題を考える<1>
       キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 山下一仁
 
      誰のための地域振興なのか?
      自治体担当者と住民の本音
      農政と逆方向の「撤退の農村計画」
      農村振興の推進者は誰か?

     
つづく
 
   「人が住み続ける新しい農村づくり」の前提条件<1>
       東京大学大学院農学生命科学研究科教授 鈴木 宣弘
 
      はじめに
      放置される米価暴落
      畳みかける貿易自由化〜RCEPの発効

     
つづく
 
 農林水産トップニュース
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 編集室
 
新たな食料・農業・農村基本計画は、農村の持つ多面的機能を活かしながら、農村を次の世代に継承していくために、「しごと」「くらし」「活力」の3つの柱を関係府省・地方自治体・事業者が連携して施策を一体的に講ずる「地域政策の総合化」を推進するよう提起しました。農村づくりは永年にわたり様々な取組みが行われてきましたが、その「解」は見当たらず、農業者の減少、農村の過疎化は進むばかりです。食料・農業・農村基本計画の具体化に向けて、農林水産省は「新しい農村政策の在り方検討会」と「長期的な土地利用の在り方検討会」を設置し、6月に「地方への人の流れを加速化させ持続的低密度社会を実現するための新しい農村政策の構築」と題する中間とりまとめを発表しました。
 中間とりまとめでは、地方への人の流れを加速化させて、多様な主体が農村に定住するための新しい農村政策を構築するため、@農村の実態・要望を把握し、課題解決につなげていく仕組みの構築A政府全体で施策が十分に講じられていない課題への対応策についてを、長期的な土地利用では、地域の将来像についての地域での話合いを促しつつ、少子高齢化・人口減少にも対応した多様な土地利用方策とそれを実施する仕組みを提起いたしました。中間とりまとめは新たな農村づくりの視点として、農村の担い手に「半農半X」や農村マルチワーカー、農村地域づくり事業体を農業農村の担い手に位置づけました。一方で、農外からの人材を受け入れるため、農村が有する閉鎖的な姿勢にも変化を求めております。むら・むら格差の顕在化も、今後は気になるところです。
 多様な主体が農村に定住し、新しいライフスタイルを実現するという姿は、農業農村の枠組みを超えて、食料安全保障を含め、我が国が国家として存続していくための大命題でもあります。そこで、22年新年特集として「人が住み続ける新しい農村づくりへの挑戦」を企画いたしました。中山間地域も含め農村に人が住み続ける農村づくりへを共通テーマとし、農山村地域再生に向けた人的支援を通じました地域社会の立て直しと農村再建等、新しい農村づくり政策に関する多岐にわたるご意見を頂戴いたしました。
 ここに掲載いたしました諸論考が、農業振興・地方再生の一助となれば幸いです。

週刊農林編集部一同