2007年9月15日号
   
 

 

 

  

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農林抄 (論説/農林水産予算への提言)
 
   「雑音に惑わされず改革に邁進を」
       江戸川大学経営社会学科教授 藤澤研二
 
 
 <書き出し> 今回の概算要求は、先の参院選での自民党惨敗の記憶も新しいこの時期に発表されたこともあり、例年にも増して興味深いものがあった。というのも、自民党の敗因の一つが経済の低迷が続く「地方の反乱」であり、また、大勝した民主党の農業政策(戸別所得保障制度)の影響を少なからず受けたとみられるからだ。もっとも民主党の農業政策は、単なる得票のための人気取りに過ぎず、その構想および内容はお粗末であり、「政権奪取」を口にする政党の政策とは思えない。さて、肝心の予算要求の中身であるが、農水省の基本スタンスとしては07年度にスタートした品目横断的経営安定対策を柱とする構造改革を粛々と進める以外にない。その方向感覚は正しいし、雑音に惑わされることなく改革にまい進することが肝要だ。その点、今回は「担い手への農地の面的集積」を支援する諸施策が重点事項とされ、予算も大幅に増額されている。今後、農政の焦点となる農地法の見直しも含めて、この取り組みに施策を集中するべきだ。・・・


焦 点 「小林農水事務次官が辞任」
 
 
 臨時国会開会を直前に控えた9月7日、小林芳雄・農水事務次官が突然辞任した。4日に若林農相に辞任を申し出たという。7日の会見では、小林農水事務次官は「遠藤前農相の農業共済組合の補助金不正受給問題が辞任に影響したか」との記者の質問に対し、「緑資源機構の問題、ミートホープ、共済関係の問題など国民の皆さんに不信を抱かせる残念なことがあった。省内の職員にも一種の閉塞感があり、組織として新しい気持ちで体制を整えて巻き直しをすることが必要だった。そこでトップを切り換えて、そういった形で臨むという考えに至った」と自発的な決断を強調した。新たな事務次官には、白須敏朗水産庁長官が昇格した。



特 集 「2008年度農林水産予算要求」農業・環境政策
 
   解説「農地改革柱に14.9%増の3兆949億円」
          週刊農林編集部
 
       担い手面積集積加速へ奨励金
       経営安定対策で小規模農家の「誤解」払拭事業
       有機農業推進に10倍の5億円
       森林資源新ビジネス創出へ24億円
       漁業経営安定対策事業52億円

      <項目>
      ・農業予算要求
      ・農山漁村活性化
      ・食の安全・安心対策
      ・資源環境対策
      ・林野予算要求
      ・水産予算要求

   農林水産予算概算要求のPOINT
 
特 集 「2008年度 農林水産主要新規施策の解説」<1> 
 
       農地政策改革への新たな取組み
 
農地政策改革関連総合対策/耕作放棄地解消緊急対策
       農政改革の推進
 
品目横断的経営安定対策/米政策改革推進対策
       農山漁村を守り活性化
 
農山漁村活性化に向けた地域の創意工夫の後押し/地域に埋もれている「匠の技」や農林水産物本来の「持ち味」を活かした農林水産業の活性化/有機農業の推進/暮らしを守る鳥獣害対策の展開/災害に強い農山漁村づくりとコミュニティ復興への支援の展開/都市農業の振興/農山漁村の場での再チャレンジ支援
       食と農の国家戦略的取組み
 
食料自給率向上のための戦略的取組み/国産飼料の生産拡大と利用の促進/食事バランスガイドの普及と教育ファームの展開による食育の推進/新技術の導入支援による川上から川下までの食料供給コストの戦略的な縮減/技術イノベーション・知的財産の力による農林水産業の潜在能力の発揮/知的財産の創造・保護・活用による競争力強化と地域活性化/農場から食卓までの食の安全と消費者の信頼の確保/動植物防疫対策の推進/食の安全と消費者の信頼の確保/生産工程管理(GAP手法等の導入)の推進/農林水産物・食品の輸出の拡大/農林水産分野の国際協力の推進/食品産業の競争力の強化
       地球的視野に立った資源・環境対策
 
国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けたバイオマス利活用の加速化/温暖化防止策・適応策、国際協力を柱とする地球温暖化対策の加速化/田園地域、森林、海洋を保全し、生物多様性を重視する農林水産業の推進

以下次号
 
       組織改正(案)
 

 

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