2007年1月25日号
   
 

 

 

  

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農林抄 (論説/農林水産予算への提言)
 
   「2007年度予算と食料自給率」
       東京大学教授 鈴木宣弘
 
 
 <書き出し> 2007年度予算では、「戦後農政の転換」ともいわれる品目横断型の経営所得安定対策等がスタートするほか、世界的にもブーム化しているバイオ燃料生産拡大対策が盛り込まれている。そこで、ふと気になったのが食料自給率の向上問題との関係である。経営所得安定対策が土地利用型農業の足腰強化につながることが期待されるが、これは必ずしも、消費減退と生産調整の緩みの下で今後趨勢的に下落が予想される米価に歯止めをかけるものとはいえない。こうした状況に我が国の稲作の担い手の多くが耐えられるかどうかにかなりの不安が残る。これはコメ自給率の低下につながりかねない。もう一つの目玉であるバイオ・エタノール等の生産拡大については、食料や飼料と競合する原料に依存する限りは、食料自給率の低下要因として作用する心配がある(MA米でエタノールというのは一案である)。さらには、・・・


焦 点 「鳥インフルと不二家の明暗」
 
 
 宮崎県清武町で発生した鳥インフルエンザは強毒性のH5N1型であることが1月18日、判明した。心配される消費への影響は「生産者の迅速な対応と、鶏卵・鶏肉から人に感染しないとの『正しい報道』がなされた」(農水省)ことで目立った影響はない。一部の小売店が不適切な表示をしていたが、いずれも是正している。他方、不二家の『不誠実』な対応は、商品撤去という悲劇を招いた。工場を調査中であるにもかかわらず17日に、菓子・飲料製品の安全宣言を出したが、ある乳業メーカーは「消費者の神経を逆撫でる行為だ。いまだ企業の論理を振りかざすのは、同社の経営が消費者不在だった現れ」と厳しく批判している。



特 集 「2007年度 農林水産予算」農業・環境政策
 
   分析と解説「農政改革4事業規模4131億円」
          週刊農林編集部
 
       飼料自給対策260億円、環境農業対策32億円
       1兆円目標達成へ輸出対策2.3倍増23億円
       国産バイオ燃料導入促進対策は109億円
       森林吸収源対策765億円追加し1835億円
       漁業構造改革50億、水産流通構造改革19億円
 
 
特 集 「2007年度 農林水産主要新規施策の解説」  
 
       農業の競争力強化への新たな挑戦
 
品目横断的経営安定対策の導入/米政策改革のさらなる推進/新たな発想に立った担い手支援策の創設/野菜・果樹対策の見直し/企業の農外からの新規参入促進/構造改革のための基盤づくりの新たな展開/飼料自給率向上の取組み/環境保全型農業の推進
       「攻め」の視点に立った新たな可能性
 
東アジア市場全体を見据えた食品産業戦略構想の推進/技術と知財の力による新需要・新産業の開拓/輸出促進対策の強力な推進/知的財産の創造・保護・活用/革新的技術の開発と普及
       「食」「地域」に根ざした国民生活
 
食の安全と消費者の信頼の確保のための取組の推進/食育の推進/地産地消の更なる展開/食料供給コスト縮減に向けた取組の推進/地域資源を活かした潤いある国民生活の実現/農山漁村の場での再チャレンジ支援/都市・農山漁村の共生・対流や都市農業の新たな展開/都市農業の新たな展開/農業用水を利用した小水力発電の支援/食料産業クラスターの新たな展開
       地域の力を活かした農山漁村づくり
 
農山漁村の活性化の推進/農地・水・環境保全向上対策の本格的実施/立ち上がる農山漁村の基礎的条件整備と安全・安心なくらしの実現/鳥獣害防止推進対策
       森林・林業再生への新たな挑戦
 
「美しい森林づくり」の推進と森林吸収源対策への取組/ 以下次号
 
       組織改正
 

 

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