2001年新春特集号
 

  

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農林抄 (論説/バイオマスエネルギー活用への提言)
 
   バイオマス技術開発の現状と取組み
       農水省農林水産技術会議環境研究推進室室長 水野隆史
 
 バイオマスエネルギーは、地球温暖化対策推進法において、地球温暖化対策として積極的に開発・導入すべき新エネルギーとして位置づけられており、また、石油等の有限な化石エネルギーを代替する再生可能かつクリーンなエネルギーとして期待されている。・・・




特 集 自然エネルギーが拓く21世紀の農林水産業・農産漁村<1>
 
   「自然エネルギー促進から持続可能なエネルギーへ」 
       自然エネルギー推進市民フォーラム代表理事 飯田哲也
 
      はじめに
      90年代グリーン化の進展
      新しい政策措置の展開
      エネルギー市場自由化の進展

     
つづく
 
   「分権の時代にあうバイオマス」
       島根大学生物資源科学部教授 小池浩一郎
 
      サブシディアリティの原則
      自治体のエネルギー供給事業
      エネルギーキャリア
      地域熱供給システムの確立
      付表・家庭部門の用途別エネルギー消費の実績

     
つづく
 
   「自然エネルギーと農業との豊かな関係〜埼玉・小川町の試み〜
       ぶくぶく農園・小川町自然エネルギー研究会代表 桑原 衛
 
      関東の有機農業のメッカ
      小川町自然エネルギー学校が産みだしたもの
      地球温暖化対策のための2つのプロジェクト
      参考図・太陽光・風力・バイオガス・・・イメージ図

     
つづく 
 
   「ポスト石油化学のためのバイオマス資源」
       京都大学大学院エネルギー科学研究科教授 坂 志朗
 
      化石資源由来ケミカルスはバイオマス資源で提供可能
      エタノール変換は食糧問題に難点
      期待されるセルロース資源、バイオマス資源のエネルギー変換
      付表1・セルロースの加水分解と石油化学原料への転換
      付表2・バイオマス資源及び化石資源由来のケミカルスの比較
      付表3・リグニンから誘導されるケミカルス

     
つづく
 
   「里山から見る自然エネルギー開発・供給と農山村の活性化」
       里山研究会会長・元京都大学生態学研究センター助教授 田端秀雄
 
      日本の自然をどうするのか
      里山とはどんな自然なのか
      里山で今なにがおきているか
      どうすればいいのか

     
つづく
 
   「バイオマスを利用した燃料生産と地球環境を守る新しい農業」
       農水省草地試験場育種資源研究室長 中川 仁
 
      京都議定書実現はバイオマスエネルギー以外にない
      何を原料にし、どれくらいバイオマスを生産できるか
      バイオマス乾物重量5割のメタノール生産可能
      付表・各種バイオマスのメタノール収率

     
つづく
 
   「バイオマスを利用した燃料生産と地球環境を守る新しい農業」
       長岡技術科学大学工学部教授 森川 康
 
      はじめに
      バイオマスの特性
      バイオマスエネルギーの開発・利用の歴史
      欧州の利用・開発状況

     
つづく
 
 
 
編集室
 
  本年の新年特集号の統一企画テーマは、『環境の世紀』といわれる新ミレニアム元年に相応しい、『21世紀のエネルギー革命とエネルギー戦略〜自然エネルギーで拓く21世紀の農林漁業・農山漁村』としました。
 二度にわたる石油ショック、にもかかわらずいまだに石油供給の9割を中東に依存したまま、石油枯渇まであと40年のカウントダウンが近づこうとしています。その貴重な化石エネルギーの大量消費で地球温暖化を招き、地球温暖化防止京都会議で温室効果ガス排出量5%削減を宣言、日本は6%削減を迫られました。さらに東海村の臨界事故で原子力発電への不信・不安が増幅。こうしたエネルギー情勢の変化の中で、欧米諸国は、脱化石エネルギー、脱原発に向け、スウェーデンが既にバイオマス・エネルギーを1次エネルギー供給量の2割まで拡大、ドイツは32年後の原発廃止に向け自然エネルギー発電力の買取を法律で義務づけ、アメリカはバイオマス・エネルギーを2010年度に3倍増にし再生可能エネルギー割合を10・5%、EUも2倍増の11・2%に拡大、バイオマスエネルギーは3倍増を目標とするなど、エネルギー戦略を転換しつつあります。
 これに対し日本は、新エネルギーの供給割合を欧米の3分の一の3・7%、バイオマス・エネルギーの目標量は皆無に近く、戦略的なエネルギー政策への取り組みが大幅に立ち遅れています。日本はエネルギー安保と地球環境保全、国土資源の有効活用の観点から、エネルギー政策を抜本的に見直すときに来ています。リスク分散へエネルギー供給源の多様化を進め、化石エネルギーや原発依存からの脱却を図るエネルギー戦略を構築すべきです。唯一といっていい国土資源に立脚した自然エネルギーの開発・振興・普及を早急に図る必要があります。とりわけ未利用資源を含む豊富な農林水産資源、農山漁村資源を有効活用したバイオマス・エネルギーの開発・利用は、次世代の化石エネルギー代替エネルギーとしての可能性へ期待は大きく、二酸化炭素の排出量削減の切り札となるクリーンで再生可能な21世紀のエネルギーとして注目を浴びようとしています。さらに、その開発・利用・売買という経済行為は、持続可能な資源循環型経済社会への転換を先取りする、資源循環型農林水産業の振興、資源循環型農山漁村の活性化への大きなテコとして期待されます。
 こうした時代要請と戦略的観点から、本企画は、@総合エネルギー調査会におけるエネルギー安全保障政策とエネルギー戦略の構築に向けた、その一環として再生可能エネルギーの位置づけと供給目標量、開発振興政策A自然エネルギー開発・普及促進法の理念と政策B農林水産業資源、農山漁村資源を利用したバイオマス・エネルギーへの変換・利用の革新的技術開発の現状と可能性、地域バイオマスエネルギーの利用システムの構築と農山漁村の活性化C食料とエネルギーの農家・地域自給をめざす民間・市民・自治体での取り組みD欧米のエネルギー戦略とスウェーデンなど北欧、ドイツの自然エネルギー政策、など個別テーマを立て、それぞれの専門家、実践家に論考をお願いしました。
 本企画が緒に着いたばかりの日本の自然エネルギー、とりわけバイオマス・エネルギーの開発・利用の振興に向けた政策立案や技術開発、各地での取り組みに弾みがつく契機となれば幸いです。

週刊農林編集部