2000年新春特集号
 

  

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農林抄 (論説/WTO農業交渉への提言)
 
   シアトル閣僚会議と今後の農業交渉   農林水産審議官 熊澤英明
新ラウンドを目指した閣僚会議が11月30日から12月3日までシアトルで開催されました。初日には数万人といわれるNGO参加者の一部が暴徒化し、緊急事態指令が出されるという波乱の幕開けとなりました・・・
 

 

特 集 「WTO農業交渉戦略」 <1>
 
   シアトル会議と次期WTO対策  島根大学名誉教授 安達生恒
 

     空転した日本の主張

     次期対策への提言

 
   WTO閣僚会議決裂の意味するもの <1>  東京大学名誉教授 佐伯尚美
 

     閣僚会議決裂の構図と論点

     提起された基本問題

 
   決裂したWTO閣僚会議  東京大学大学院教授 生源寺真一
 

     混乱のシアトル

     ヨー議長案

     EUとの共同歩調

 
   新たなコンセンサスを求めて <1>  三井物産顧問 白岩 宏 
 

     シアトル会議決裂の舞台裏と各国の反応

     米国

     EU

 
   GATT/WTOが果たしてきた役割 <1>  東海大学教授 高瀬 保 
 

     はじめに

     GATTはなぜ設立されたか

     GATTが日本のために果たした役割

     GATTがWTOに変わって何が変わったか

     計画経済の数量制限を禁止し、市場経済の関税を合法的保護手段とするGATT/WTO

 
   WTO閣僚会合決裂とその背景 <1>  東海大学教授 高瀬 保 
 

     決裂:まったくの予想外の事態

     もう一つの予想外の事態:環境グループの行動

     何で、決裂したか

     前回合意(農業とサービスの交渉開始)が残る

 
   WTO農業協定と日本の稲作農業 <1>  社会基盤研究所主任研究員 藤澤研二 
      〜国内農業改革こそ最大のWTOだ〜
 

     はじめに

     UR後の世界の農業情勢

     最悪のタイミングでのWTO交渉

     国内農業改革こそ最大のWTO対策

 
 
 

編集室

 
 ミレニアム−21世紀への幕開けとなる記念すべき2000年の新年特集号は、まさに21世紀の日本農業の命運を決するとも言えるポスト・ウルグアイ・ラウンド=WTO農業交渉に臨むべき『日本のWTO農業交渉戦略』としました。UR交渉の教訓を踏まえ、どういう戦略目標を設定し、それを達成するためにどういう戦略・戦術を構築し展開するかということです。

 その際、広い国際的視野、多角的な観点、異なる観点から、冷静に国際情勢を分析し、これにどう対抗・対応していくべきかという観点から、農業・農政に造詣が深いばかりでなく、異なるスタンス・分野の専門家の方々の経験・情報と叡知を結集し、政府・与党・農業団体が合意した日本政府の農業交渉戦略である「日本提案」が独善に陥っていないか、多角的な角度から点検、評価を加えていただくとともに、決裂はしたが、そのことがかえって、各国の狙い、利害・立場の違い、対立の構図、課題を灸りだしたWTOシアトル閣僚会議(概要は12月25日号参照)について検証していただき、それをも踏まえて、日本の農業交渉戦略を提案して頂いた。

 ご提案をしていただくに当たっては、政府交渉者のお立場から、巻頭言で農業交渉に臨むスタンス、今後の交渉方針について、国民、農業者に向けた説明をお願いした。また農業経済・政策研究の第一線からの深い専門的知識を駆使した分析・提言を頂きますとともに、ガット事務局に29年間勤務されURはじめ交渉の表裏をみてこられた経験や知見、欧米に滞在し農産物貿易に従事された経験・知見から国際農業貿易ルールの在り方を、アメリカ農業研究の第一人者としての取材と鋭い分析、アメリカで長らく農業を見聞され穀物取引に従事された経験・知見から、交渉では“仇敵”となるアメリカ人のメンタリティを含むアメリカの交渉戦略の狙い、国内の米流通・市場を研究、精通されている知見から、交渉の最大の焦点となる米の国境措置、すなわち米の関税とミニマム・アクセスの取り扱いについて提言して頂いた。

 同時に、交渉戦略と裏腹の関係にある関税化=国際化に対抗・対応した21世紀の日本の食料・農業・農村戦略を早急に構築すべきとの観点から、とくに米・水田農業を軸とする農業構造改革に向けたご提言もお願いした。

 ここにご提起頂いた分析・評価・提言が日本の交渉戦略を点検し、さらに練り上げていくうえで一助となれば幸いである。

週刊農林編集部